新しいモバイル時代をつむぎ出す担い手たち。このコーナーではモバイル商品や技術の開発者たちに迫ります。
商品や技術の後ろには、その何百倍もの開発者たちの夢が託されている…。
夢こそがこれからのモバイルの世界を広げます。彼らの夢に迫ると、もっとモバイルの世界が深まります。

 

 

 

 

記念すべき第一回は、朝日新聞でも取り上げられた「音に合わせてダンスをするのは当たり前、ダンスに合わせて音を出す、という体の動きに合わせて自分の好きな電子音を出すヘッドホン型コンピューター」
さて、その技術とは?夢とは?開発者の松下宗一郎を直撃!!


第一回 〜カラダの動きが音になるヘッドフォン型コンピューターって?〜

 

開発者  松下宗一郎
      株式会社東芝
      研究開発センター・ヒューマンインターフェースラボラトリー

 

新聞でみつけた東芝の謎のコンピューター


朝日新聞(2000年11月25日)でその記事を見た。
人間の動きが音になるヘッドフォン型コンピュータ……
むむ……な・なんだ!? 編集部はさっそく開発者を探す。むふふ…すぐに東芝研究開発センターにいるひとりの開発者をつきとめてしまった(あたりまえ?)。新聞の写真に写っている物静かな若い男性。それがこの妙なコンピューターの開発者の松下宗一郎だった。


使って見ると不思議な快感


会うなり挨拶もそこそこに、さっそくその「妙なもの」を試させてもらった。ヘッドフォンをつけて歩いてみる。歩調どおりに、ピコピコという電子音。
「首を左右に動かしてみてください」 言われるままに、首を左右に動かしてみる。ガラーンガラーンというシンバルのような音。その音が、ワイヤレスでつながっているスピーカーから部屋中に流れる。しゃべると音と一緒に、自分の声も流れる。なんだか不思議な快感だ。

運動会の行進みたいに「正しく」歩くと正しいリズムの音になる。昔懐かしいコント(?)でよく見る「盗っ人」みたいな歩き方をしてみる。ふむ、いかにもあやしい音だ。自分のヘタな演技が、うまく音に変わってくれるので、俄然、演技にも熱がはいってしまう。


ガンダムになりきりたかった


なぜ、こんなおもしろいものを考えついたのだろう?
開発者の松下宗一郎にきいてみた。

「イメージは『ガンダム』なんです。歩くとガンダム になった気分になりませんか? なりきりグッズとい うのが流行ったときがあったけれど、ガンダムになり きりたかったんです。僕らの世代はガンダムに影響を受けた人って多いと思いますよ」

たしかに歩く感覚は、「ガンダム気分」だ。失礼ながら おトシによっては、『鉄腕アトム気分』になる人もいる かもしれない。

 

自分でウラワザに挑戦!


さて、このコンピューターは、なんとウラワザも持っている。

「ある特定の動きをしたときにだけ出る音を、こっそり設定しているんです。自分でプログラムしておきながらその動き方はむずかしくて、1時間練習しました。やっと『その音』が出るようになったときはうれしかったですよ」

ゲームのウラワザに燃えた人ってたくさんいるだろう。 彼も、ゲームが大好きな人。18才のときに出会ったゲームの「ウィザードリー」にはまりまくったそうだ。


ふたつのセンサーが基本になっている


このへんで、ちょっとむずかしいけれど、技術について説明しておこう。

彼はこの技術を2年がかりで開発した。
この、動きが音に変わる技術は「加速度センサー」という頭にくわわる衝撃を測るセンサーと、「角速度センサー」という頭の回転を測るセンサーでできている。
そのセンサーが感知した動きを、これもまた松下自身がつくった、小型コンピューターが音に変えている。
小型コンピューターとスピーカーを、コードなしでつなげている技術は、「ブルートゥース(Bluetooth)」という。ブルートゥースはこれからのモバイルに、多く使われる技術だ。

 


2号機
まだ大きい


3号機
これもまだ大きい


4号機
やっと小さくなった

 

これからのモバイルを変える


これからのモバイルは、こうしたさまざまな新しい技術が開発され、今までのコンピューターのイメージを大きく変えそうだ。
アニメやゲームを毎日の食事のように楽しんだ、松下のような新しいタイプの開発者が、きっと新しい感覚のモバイルを作ってゆくのだろう。とっても楽しみだ。


最終ゴールは『いつでも一緒』


最後に、この技術の最終ゴールをきいてみよう。

「今はまだ、3合目あたりですね。『いつでも一緒』で、自分の能力を拡大してくれるコンピューター、というのが最終ゴールです。『癒し』とか『はげまし』とかそういう心の部分に役立つようなもの…でもそうなるとコンピューターっていうのかな?」

10合目についたとき、このコンピューターはなんと呼ばれるどんなものになっているのだろう?

【2000.12.13 談】

 

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