- 株式会社みちのく銀行
- 1921年(大正10年)に設立され、青森市勝田に本店を置く。店舗数は、出張所を含め国内99店舗。中国・上海には駐在員事務所を構えます。企業理念は「みちのく銀行は地域の一員として存在感のある金融サービス業を目指し、お客さまと地域社会の幸福と発展のためにつくします。」です。これは「大衆と倶(とも)に永久(とわ)に栄えん」という創業の精神を礎に、「家庭の銀行」を標榜する中で培ってきた企業姿勢を継承し策定したもので、その言葉どおり、お客さまおよび地域社会の発展のため、地域に根ざした金融サービスを提供しています。
行内同様の情報リソースを行外でも利用できる
高セキュリティ端末が必要
株式会社みちのく銀行では、個人のお客さまとのコミュニケーション強化を目指し、2013年4月、Androidタブレットの導入を行いました。同行の営業企画部上席担当役 小山博昭氏は当時をこう振り返ります。
小山氏「個人のお客さまに対し、世帯丸抱えでサービスを提供するのが当行の営業のスタンス。年金や預かり資産専門のコンサルティングも行っており、お客さまと対面して行内情報を参照しながらご説明などを行いたいのですが、情報を外に持ち出すには届け出をするなどの手続きが必要で、手間がかかるのが難点でした。情報漏えいリスクを避けながら行内情報を利用できるシステムが必要だと考えているところに、かねてからのITパートナーからAndroidタブレットを利用する仕組みをご提案いただき、導入しました。この取り組みは東北地方の地銀としては、かなり先進的だったと思います」
Androidタブレットから社内のWebシステムにアクセスして、そこで提供されるサービスだけを利用できるようにすれば、端末内に存在する業務情報は最小限で済むためセキュリティが担保できます。その考えからAndroidタブレット利用が始まりましたが、導入当初こそ利用頻度は多かったものの、しだいに利用時間が減少していきました。
小山氏「いつの間にか日々の利用時間が1~2時間まで落ち込み、理由を探るとタッチ操作のレスポンスの悪さが大きな要因だとわかりました。Internet Explorer(IE)ベースに開発された行内システムはシンクライアント環境ではレスポンスに問題がありました。とはいえ、セールスツールとしては有効なので撤廃するという選択肢はなく、ユーザビリティを高められるような新しいタブレットの検討を行うことになったのです」
2014年9月からの新デバイス検討で「最も重視したのは使い勝手とセキュリティです」と語るのは営業企画部 担当役 對馬(つしま)清徳氏です。
對馬氏「Androidタブレットの新モデルとiPadを検証しました。どちらも操作レスポインスは良いのですが、セキュリティが問題でした。活用が進むとともに、行内で利用する情報と同等の情報を行外でも利用したいというニーズが高まっており、それまで以上に操作性とセキュリティ面へ気を配る必要があったのです。Androidタブレットは実績もあり、運用方法も変えずに済むので、これにセキュアブラウザを導入するという選択肢もありましたが、やはりレスポンスの問題と、IE前提のWebページではレイアウトが崩れてしまう弱点が解決できませんでした」
行内・行外で共通して利用できる機能性と性能、
セキュリティを評価
使い勝手とセキュリティの両立に頭を悩ませていたところ、ITパートナーから提案されたのが、Windowsタブレットでした。Windowsタブレットなら、Windows Embeded※を利用でき、セキュリティが担保できることから、タブレット本体のWebブラウザを利用することで、従来の課題であったタブレット本来の操作性を享受できる期待がありました。
この提案に納得した同行は、Windowsタブレットの中で適切なモデルの選定に入ります。古い端末が残る同行では、これを機に端末環境を行内外で統一する目論見もあり、次のようなポイントで検討しました。まず行内においてキーボード入力が必要な業務が多いため、キーボードが利用できること。次に行外では無線、行内では有線LANでの通信が容易にできること。さらに携帯性に優れること、作業がしやすいこと、お客さまと対面して説明する際の画面の見やすさなどです。もちろん前提として、操作レスポンスの良さは欠かせません。 これらの要素をすべて合わせ持つ製品として選ばれたのが東芝「dynabook R82」でした。
小山氏「スリムで携帯性を担保しながらも大画面で作業しやすく、持ちやすい。キーボードもしっかりと装着できるところを評価しました」
また、タブレット部分だけを持って行外業務を行い、帰社したあとはキーボード部分に装着すれば、キーボードに備わるLANコネクタ(RJ45)に接続した有線LANがそのまま使えます。有線LAN接続のためのアダプタや、LAN側の特別な設定が不要なところもポイントになったということです。
次の検討ポイントはコストです。既存のAndroidタブレットとdynabook R82を導入した場合の5年間のランニングコストを試算し、比較してみたところ、
對馬氏「初期導入コストは行内PCの入れ替え予算で賄えます。また新端末導入時に通信プランを変更すれば通信料削減ができます。5年間のランニングコストを比べると、dynabook R82導入のほうが低いことがわかりました」
トータルコストとしては従来と同程度とわかり、2015年2月にdynabook R82の導入が決まりました。
※Windows Embeddedは、組み込み機器向けOSで、標準でハードディスクへの書き込み保護機能(書き込みフィルター)が搭載されています。スクリーンキャプチャやUSBデバイスなどの外部入力機器の制限も可能で、情報漏えいリスクに備えるには最適な選択肢の1つです。なお、当社はプリインストールOSについて動作保証しています。
運用性、セキュリティ、操作性が向上、
新たな用途も広がる
dynabook R82の導入は、行内システムの部分的な改修とともに行われました。例えば行外からのアクセスと行内からのアクセスで別々のランチャーを用意、アクセス環境に応じてランチャーを切り替える仕組みが構築されました。行外から利用することが不適切なアプリケーションは、行外からのアクセスではアイコンが表示されません。
また、既存のActive Directoryサーバーによる認証機能を利用し、端末へのログインだけで行内システムにもログインできるシングルサインオンも実現しました。シャットダウンで消えてしまう設定情報などの一部の、業務効率に差し障りがある部分のみを残すための仕組みも追加されています。
こうしたシステム改修・構築も合わせた導入に約5ヶ月を要し、2015年7月中旬、3店舗で検証が行われました。するとすぐに「使い勝手が良くなった」という声が届いたといいます。セキュリティ面も含め問題ないことを確認した上で、8月~9月にかけて、導入プロジェクトメンバーが3チームに分かれて各店舗で配付と使い方の指導を行いました。その効果もあり、
小山氏「10月には全店での運用が始まりましたが、ヘルプデスクへの問い合わせはほとんどありません」
と小山氏は胸を張ります。その後、dynabook R82は個人営業用に1人1台、法人営業用に1課に1〜2台、本部サイドやコンサルタントなどに1人1台、合計して約430台が導入され、現在稼動しています。まだ運用から日が浅く、定量的な効果測定はできていませんが、
小山氏「ユーザビリティが高くなっていることは現場の声からも間違いがありません。目的にたどり着くまでの時間も短くて済むので、業務効率も向上するでしょう」
と小山氏は期待を込めます。また、Windowsタブレットに変わったことで、Microsoft Officeが利用できるのもメリットと感じています。
川原田氏「既存PCと置き換えたのでOfficeのライセンスはそのままdynabook R82でも利用できます。書類閲覧だけでなく、すべての操作ができるため、用途が広がりますね」
と同社システム統括部次長 川原田勝幸氏は言います。
申込み受付、さらには契約完了までをタブレットで行い、
お客様への提供価値を最大化したい
現在の行外用途は、行内情報やキャンペーン情報の閲覧、パンフレットの情報の提示などですが、今後はさらに用途の拡大を目指しています。
小山氏「申込みを受け付け、契約完了までできるようにしたいですね。特に投信の場合はリアルタイム性が求められますので、その場で申込みができればお客様にとって大きなメリットになります。契約までのプロセスを簡略化し、お客様への提供価値を高めるとともに営業機会も最大化したいと思っています」
加えて、法人営業にもdynabook R82のさらなる活用を検討しています。
對馬氏「個人向け営業の場合は、活用目的が明確でした。法人営業でも活用の道がいろいろあるはずです。お客様にどのような価値を提供できるのか、これから検討していきたいと思います」
先進的なタブレット利用の経験を背景に、2in1タイプのWindowsタブレット導入を効果的に行った同行では、今後は個人、法人営業にますますきめ細かい顧客対応が図られることでしょう。
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- Androidタブレットのユーザビリティの問題で利用率が低下
- 行外から行内システムを利用する場合のセキュリティに課題
- 行内端末と行外端末が別々
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- ユーザビリティとセキュリティを両立するdynabook R82が現場で好評
- シンクライアント環境の問題を解消、Windows Embedded OSでセキュリティも向上
- 2in1タイプで行内と行外の利用端末の標準化・統一が実現
- 「AndroidタブレットからWindowsタブレットに変えたことで、ユーザビリティが格段に向上し、ストレスのない行内システムへのアクセスを実現できました。また2in1タイプだからこそ、行内・行外利用端末の標準化・統一ができました。今後はさらに用途を拡大し、お客様への提供価値を高めるツールとしてさらに活用していきたいですね」
この事例で導入した製品・サービス / dynabook R82
※画面はハメコミ合成です。
※画面は実際のイメージとは異なる場合があります。Windowsストアアプリは別売りです。ご利用になれるアプリは国/地域によって異なる場合があります。