ズバリ!RX3の開発コンセプトを教えてください。
- 古賀
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高性能は、たくさんの人に使われてこそ、意味があります。
だから、お客様にとって「もっと身近で、本当に使いやすいモバイルとは何か?」を真剣に考えた結果をカタチにする、それがRX3の開発コンセプトです。
「オフィスで使うデスクトップPCやA4ノートPCと同等の性能を持ったマシンを外に持ち出せたら、もっと便利になるのに・・・」
そう思っていたお客様の気持ちに応えるべく、「携帯性」を維持しつつ、「メインマシンとして使える先進機能」を搭載した新機軸のモバイルPCを目指しました。
しかし、どんなに先進機能を搭載したマシンでも、多くのお客様に使っていただけないのでは意味がありません。
ですから、単に最新技術を駆使した結果、価格が上がってしまうということではなく、部品や基板設計などを従来製品と共通化したり、既存技術を活用したり、という工夫を施して、できるだけ多くのお客様の手元に届くよう努力をしています。
ラップトップPCの発売から25年の長きにわたって蓄積してきた、東芝の独自技術があればこその自信作、それが「RX3」です。
RX2よりも少し大きくなりましたが・・・
- 中島
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モバイルPCでありながら、メインマシンとしても使えるPCを目指したとき、CPUやメモリと同様に画面の大きさやキーボードも重要だと思い、13.3型のワイド液晶画面を搭載することになったのです。
この大きさなら、2つのウィンドウを並べて作業するなど、多くの情報が一度に表示できるので、作業効率からみても、メインマシンにひけをとらないと考えています。
モバイルPCとしては大きいと思われるかもしれませんが、液晶画面の縁をできるだけ細くしてあるので、画面が広い割に、本体は小さく感じていただけると思います。
また、RX3はJIS規格デスクの引き出しにちょうど収まる大きさなんです。鍵のかかる引き出しにしまって帰ればセキュリティ対策にもなります。
デスク収納と同じように、カバンへの出し入れがしやすい余計な凹凸のないフラットなデザインにこだわりました。
凹凸がなければ、資料と一緒にサッとカバンに入れて持ち運べるので、忙しいビジネスマンにも喜んでいただけるのではないでしょうか。
フラットなデザインにするために、以前の機種では外側に膨らんでいた「応力分散ドーム」は、本体内部の見えない部分に設けるという工夫をしました。
スリムな見た目からは想像できないと思いますが、HDDの衝撃吸収効果は変わらずキープしているのです。
薄くて軽いというRX3ですが、強度についてはどうなのでしょうか。
- 中島
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確かに、モバイルPCは外で使う機会が多いだけに、強度にこだわるお客様も多いですよね。
私たちは、ただ単純に薄さ、軽さだけを追求するのではなく、「安心」・「安全」という大前提のもとで、できる限り薄くて軽いPCを開発しています。
そういった意味でも強度や堅牢性の確保は必須条件だと考えています。
モバイルPCの場合、筐体が軽いため、パームレストの端の部分を持ち上げたりすることが多いと思います。
そこで、ねじれに対する強度をどうやって確保するかを追求した結果、ハニカムリブ構造を採用するという結論に至ったのです。
ハニカムとは、ご覧のとおり「蜂の巣」です。この構造は、縦方向だけでなく斜め方向への強度も確保できるというメリットがあります。
従来から採用しているマグネシウム合金ボディに、このハニカムリブ構造を採り入れることで、筐体の強度向上に成功しました。
また、光学ドライブ部には加圧に強いストレートリブ、ねじれが生じやすいパームレスト部にはハニカムリブ、というように実装物や必要な強度に合わせてリブの高さや構造を緻密に変えています。
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ハニカムリブ構造は、今回の機種から採用されたということですが、設計・製造にあたって苦労された点は何ですか?
- 中島
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従来機種ではリブを縦にしていました。ハニカムリブ構造の難しいところは、鋳造時に溶けたマグネシウム合金の流れが分かれたりぶつかったりして空気を巻き込んでしまい、交点で空気の粒子が滞留して強度が損なわれてしまうことです。
そこで、この空気の巻き込みをなくし、高品質のハニカムリブを成型するため、真空状態で鋳造する方式を採用しました。
真空鋳造の採用は、堅牢性のアップと不良品率の低減という好結果ももたらしています。
これまでのRXシリーズから大胆にイメージチェンジして、ブラックカラーのボディにしたのはどうしてですか?
- 中島
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おっしゃるとおり、RX3では大胆にイメージチェンジして「ブラックボディ」にしました。
これは、高級感のある筐体にしてお客様に持つことの満足感を味わっていただきたいという想いからです。
天板にはヘアライン仕上げを施し、光が当たったときの質感を演出しています。
また、パームレスト部にはヘアライン上にクリア塗装を施し、汚れが目立たないように仕上げました。
このほか、今まで別々の部品として作成・組み立てていた天板部分を、RX3では一体成型して継ぎ目をなくし、よりすっきりとしたデザインに仕上げました。
これは、プラスチックの形成型にマグネシウム合金の天板部品を真空圧着し、そこへガラス添加剤入りの収縮しにくいプラスチック素材を流し込んで一体成型します。
このようにして継ぎ目をなくすことで、天板部の強度向上も図っています。
この質感は、実際に触れて、見て、感じていただきたいです。