なぜ、厳しい検査を続けるのか
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- 本日はお疲れ様でした!
dynabookの試験を色々と見ていただきましたが、いかがでしたか?
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ありがとうございました!
製品の開発段階でいろんな検査がくり返されていることを知って、大変驚きました。まだ販売に至っていない新しいものだからこそ、不具合が起きた場合のトラブルを予見しながら、検査をしないといけないわけですね。
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- 私たちはラップトップPCを30年近く出荷していて、そのあいだに市場で起こった不具合やトラブルをフィードバックし、それを再現しながら設計に盛りこんでいます。そのため、基本的には長年の経験を活かしたデザインガイドにもとづいて設計を進めるのですが、やはり実際に作ってみないとわからないことも多々あります。
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- ちょっとしたデザインや仕様の変化に応じて、検査も変えないといけないんですね。
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- はい。同じ試験を続けられればいいのですが、やはり製品がより軽くなったり薄くなったりすると違った不具合が出てくるので、さまざまな角度からの評価が必要になります。
だからこそ、実際にサンプルを机の高さから落としてみて、弱いところがあったら筐体を厚くしたり、そうしたことをくり返しながら、最終的に量産される商品が設計されるわけです。
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- しかもユーザーのニーズは、もっと軽く、もっと頑丈で、できればもっと安く……とわがままです(笑)。
新しい商品を求める声が強いからこそ、不具合や故障が起きないように検査をすることの重要性が、ますます高まっているわけですね。
あくなき試行錯誤
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- 今日は様々な試験を拝見させていただきましたが、なかでも一番印象に残ったのは、X線の試験でした。
基板の微細な断線を見極める作業は、われわれが受ける超音波やMRIを使った検診と同じように、最後にそれを見て解析する人の注意深さや経験が問われますよね。どのぐらいで壊れるのかは、ある程度は見通しながら設計をするのでしょうか?
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- はい。設計をしていると、壊れやすい部分が直感的にわかることもあります。
「ここはちょっと挑戦して薄くしたな」とか、「がんばって軽くしたな」とか。
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- そういった部分が実際に試験で壊れたときにはどう対応しますか?
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- 筐体であれば、すぐに設計のデータを直します。
でも、なるべく設計の段階である程度は耐えられそうだなとあたりをつけてから、試験に臨んでいます。
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- 鋭い勘が頼りというわけですね。でも例えば、あてがはずれることも?
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- もちろんあります。
事前にコンピューターでもシミュレーションしますし、その段階での検証精度もかなり高くなってはいます。
なるべく試行錯誤をくり返さなくても済むように入念に設計をしてはいるのですが、やはり実際に落としたり振動をかけたりしないと最終的な確認はできません。
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- 人文系の研究をしていても、収集したデータを組み立てて仮説を実証しようとするときに、スッと出口まで行けるときと、途中でどうしてもうまくいかないときがあります。
でも、どちらが充実していたのかふりかえると、途中で挫折やつまづきがあったときのほうが、印象に残っているんですよね。手間がかかる子どもがかわいいのと一緒なのかもしれない(笑)。
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- そのとおりだと思います(笑)。私も苦労した機種ほど思い出に残っています。それが自信にもなりますしね。
評価基準を絶対に守れるように、厳しいスケジュールと戦いながら、最後まであきらめずにやることをチーム全員で心がけています。