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一貫体制で手厚いサポートを実現「誰ひとり取り残さない学び」に向けた Dynabookの取組み

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GIGAスクール構想の最前線で子供たちの学びを支えるデバイスを開発・提供してきたDynabook。GIGAスクール構想が目指す「誰ひとり取り残さない学び」を実現するための同社の取組みについて、インタビューした。


国内PC事業本部 公共・文教営業部 部長の石田康弘氏と、国内サービス本部 本部長の中村勝氏

 GIGAスクール構想により全国の児童に1人1台の端末環境が実現し、教育現場は大きな変革期を迎えている。Dynabookは、その最前線で子供たちの学びを支える端末を開発・提供してきた。
 DynabookがGIGA端末に込めた思いや、教育現場での端末活用を支える取組み、最新モデル「dynabook K70」について、国内PC事業本部 公共・文教営業部 部長の石田康弘氏と、国内サービス本部 本部長の中村勝氏に話を聞いた。

「とことん子ども目線」を大切に、現場の先生の声に応える

--Dynabookの、GIGAスクール構想に対する方針や思いを教えてください。

石田氏:Dynabookは、「全国の子供たちに等しく学べる環境を提供する」という理念のもと、「とことん子ども目線」という方針を掲げ、教育現場向けの端末開発およびサービスの充実に取り組んできました。また、学習環境に端末を取り入れても、これまでの子供たちの生活・学習スタイルが少しでも変わらないようにすることも大切にし、製品・サービスを開発しています。

 GIGAスクール構想開始から数年が経ち、子供たちが自分専用の端末を学びのツールとして日常的に活用する一方で、ユーザーが子供であるがゆえの新たな課題も浮き彫りになっています。私たちは、これまで現場の先生たちから寄せられた声や経験を生かし、ひとりひとりに寄り添った学びの進化を目指して努力を続けています。

--DynabookのGIGA端末はどのような特長がありますか。

石田氏:「とことん子ども目線」を求めた結果、GIGAスクール構想スタート時から一貫してこだわっているのが端末の「画面サイズ」「デタッチャブル」「自立式設計」の3点です。DynabookのGIGA端末は、子供たちに少しでも軽い端末を提供したいという思いから、軽量で持ち運びしやすい10.1型のディスプレイを採用しています。

 また、使い勝手の良さを求めた結果、画面とキーボードが分離できるデタッチャブルにしました。これにより、ノートPCとしてだけではなく、タブレットとしても使うことができます。さらに、タブレットを支えるスタンドがなくても立てて使える自立式設計を採用したことで、机のスペースを最大限に活用でき、教科書やノートを広げて端末を置いてもゆとりのある学習環境を確保できるようにしています。

Dynabook国内PC事業本部 公共・文教営業部 部長の石田康弘氏 撮影:曳野若菜Dynabook国内PC事業本部
公共・文教営業部 部長の石田康弘氏
撮影:曳野若菜

「ピックアップ修理サービス」でGIGA端末の故障や破損に迅速対応

-- 1人1台端末の導入により、児童の学びの幅が広がっている一方で、端末の故障や破損により苦労されている先生も多いとよく伺います。DynabookではGIGA端末の故障や破損に対して、どのような体制をとっていますか。

中村氏:今やGIGA端末は学習に欠かせないツールとなり、故障や破損が発生した際には、学習の中断を最小限に抑えるため、迅速な対応が求められます。そこでDynabookでは、GIGA端末専門の修理窓口「GIGAスクール修理受付窓口」を設置しています。修理の依頼は、電話、メール、Webサイトの3つの方法から選択でき、利用しやすい方法で手続きが可能です。修理依頼を受け付けるとDynabookが手配した専用の輸送業者が学校に訪問し、梱包から回収まで行います。また、修理後はすぐに使える状態でお届けします。

 GIGAスクール構想第1期を経て、複数の端末を一度に修理に出すケースが多いことがわかりました。これまでは、Webサイトで修理依頼する際に1台ずつ必要情報を入力しなければいけませんでしたが、第2期に向けてファイルをアップロードすることで一括依頼できるシステムを導入しました。Webサイトから修理依頼を受け付けた場合は、預けた端末が輸送中なのか、見積り中なのか、修理中なのかといったステータスを1台ずつリアルタイムで確認できるシステムも整備しています。このような工夫により、先生の負担を最小限に抑えるとともに、修理期間をできるだけ短縮し、速やかに端末の利用を再開できるように努めています。

--GIGA端末は、どのくらいの割合で破損が起こっていますか。また、どのような種類の破損が多いですか。

中村氏:GIGAスクール構想の第1期では、約7割の端末に破損が発生し、修理の依頼がありました。特に多かったのは、机から落下したことによる破損です。そのほか、タブレットとキーボードの誤装着による事故、付属のペンを紛失するなどといった事例も多かったです。また、キーボードに大量の砂が入る、自宅に持ち帰った際に弟妹が端末を誤って踏んでしまう、さらには投げて遊んでしまうといった、小学生ならではのトラブルも起こっていました。

Dynabook国内PC事業本部 国内サービス本部 本部長の中村勝氏 撮影:曳野若菜Dynabook国内PC事業本部
国内サービス本部 本部長の中村勝氏
撮影:曳野若菜

子供たちが等しく学べる環境を提供するために

--Dynabookでは、子供たちが皆等しくノートPCを使えるような取組みをされていると伺いました。具体的にどのようなことを行っていますか。

石田氏:端末の耐久性や使い勝手の向上に加え、すべての子供たちが等しくノートPCを使えるよう、さまざまな取組みを行っています。そのひとつが、2024年8月にリリースしたばかりの「せっていのとびら」というアプリです。これは、GIGAスクール構想が進む中、特別なニーズをもつ子供たちが端末の利用に不便を感じていると知ったことがきっかけで開発に至りました。

 たとえば、色の違いを認識しづらい子供、小さな文字が見えにくい子供、音声サポートが必要な子供など、それぞれが異なる学びのサポートを必要としています。「せっていのとびら」では、色覚特性に対応するカラーフィルターの設定や、文字の大きさの変更、画面の明るさ調整、読みあげ機能などを、直感的なインターフェースで簡単に操作できるように設計されています。

「せっていのとびら」は、特別なニーズをもつ子供たちの端末設定をサポートする。 撮影:曳野若菜「せっていのとびら」は、特別なニーズをもつ
子供たちの端末設定をサポートする。
撮影:曳野若菜

 これらの設定はもともとWindowsの設定メニューから調整できるのですが、子供たちにとって、そのメニューにたどり着くまでの操作が複雑でわかりづらいものでした。「せっていのとびら」を使うことで、子供たち自身が自分にあった環境を簡単に整えられるようになり、GIGAスクール構想が目指す「誰ひとり取り残さない学び」の実現に向けた第一歩ともなっています。

現場からの声を反映して「丈夫さ」と「使いやすさ」を追求

--2024年1月に発売された最新モデル「dynabook K70」について教えてください。

石田氏:GIGAスクール構想が進み、多くの学校でDynabookの端末を実際に使っていただく中で、さらなる改良の余地も見えてきました。これまでに寄せられた先生方の声に応えつつ、徹底的に子供たちの視点に立って改良を重ねて誕生したのが、より多機能で高い耐久性をもつ「dynabook K70」です。

徹底的に子供たちの視点に立って改良を重ねて誕生した「dynabook K70」 撮影:曳野若菜徹底的に子供たちの視点に立って
改良を重ねて誕生した「dynabook K70」
撮影:曳野若菜

 子供たちの持ち帰り学習が進まない理由のひとつに、端末が重いことがあげられていました。dynabook K70は従来の端末と同じく10.1型のディスプレイを採用し、1,097gの質量を実現しました。タブレットのみを持ち帰る場合は約590gになりますので、教科書1冊分くらいの重さになります。低学年の児童が毎日ランドセルに入れて持ち歩くことを想定した重さで、ランドセルにもすっぽり入るサイズになっています。

1,097gと軽さを実現した「dynabook K70」は、ランドセルにもすっぽり入る。 撮影:曳野若菜1,097gと軽さを実現した「dynabook K70」は、
ランドセルにもすっぽり入る。
撮影:曳野若菜

--先ほど、破損の多さについて伺いましたが、破損を防ぐために新たにどのような工夫をしましたか。

石田氏: dynabook K70は、これまでに報告された破損事例をもとに大きく3つの改良を施しました。

 1つ目は、落下による破損を防ぐ工夫です。端末の本体外周を熱可塑性ポリウレタンで覆いました。この素材には滑りにくい特性があり、端末を置いた机を20度(児童が机を持ち運ぶ際に想定される角度)まで傾けても滑り落ちることがなく、落下事故のリスクを大幅に低減できます。万が一落下した場合でも、熱可塑性ポリウレタンが衝撃を吸収し、破損を防ぐことができます。また、四隅に丸みを帯びた形状にしたことで、落下時の衝撃が分散され、より一層、耐久性の向上を図ることができました。

 2つ目は誤装着を防ぐ工夫です。旧タイプでは「装着したつもりが、しっかり固定できていなかった」という誤装着による落下事故が発生していました。そこでdynabook K70では、タブレットとキーボードの結合部に溝を設け、誤装着を防ぎ、確実に装着できる構造としました。

 3つ目はキーボードの左右に突起(アンカー)を設けて、キーキャップが外れにくくしてます。

 dynabook K70は2024年1月に発売されたばかりなので十分なデータはまだ揃っていませんが、これまでの修理依頼の件数から判断すると、破損の件数は減少しているように感じています。

--実際の現場から寄せられた声をもとにさまざまな工夫をされていますね。破損のリスクが減ることで、学習での端末の活用がさらに進みますね。

石田氏:はい。同様に現場の声を参考にして、dynabook K70向けのオプションとして持ち運びのしやすさに配慮した専用の純正タブレットケースを用意しました。肩に掛けられるストラップも付属しており、校外学習などでの持ち運びに非常に便利です。

タブレット単体での使用時と、キーボードを装着した状態のどちらにも対応したケース。 撮影:曳野若菜タブレット単体での使用時と、
キーボードを装着した状態のどちらにも対応したケース。
撮影:曳野若菜

 また、このケースはタブレット単体での使用時と、キーボードを装着した状態のどちらにも対応しており、タブレットだけをケースに入れた場合でも、安定して立てられる設計になっています。さらに、タブレット単体で使用するときのために、ケース内にペンを収納できるようにしました。これにより、校外学習などでペンを紛失するリスクが軽減され、先生の管理負担も減らせると考えています。

すべてのプロセスを自社で一貫して行う体制で、
子供たちに寄り添った製品を提供する

--Dynabookが、教育現場、子供たちに寄り添った製品を開発できる理由を教えてください。

中村氏:Dynabookの強みのひとつは、製造、設計、営業、サポートといったすべてのプロセスを、1社で一貫して行える体制を整えている点にあります。この体制があることで、営業部門が現場で拾い上げたお客様の声やニーズを、迅速に設計や製品開発に反映させることが可能となっています。これにより、従来の「プロダクトアウト」アプローチではなく、お客様のニーズに基づいた「マーケットイン」アプローチを実現し、より一層子供たちに寄り添う製品を提供できるのです。

 さらに、Dynabookの端末にはWindowsが搭載されている点も、非常に大きな強みです。Windowsは柔軟性が高く、開発の自由度があるため、現場で新たな課題が発見された場合でも、メーカーである私たちとマイクロソフトが協力して迅速に解決策を探り、対応することが可能です。先ほどお話しした「せっていのとびら」も、そういった中で開発が進められました。

--GIGAスクール構想は「NEXT GIGA」と呼ばれる次のステージへ移行しつつあります。DynabookのNEXT GIGAへ向けた展望をお聞かせください。

石田氏:Dynabookは、2021年から「K50」や「K60」などのデバイスをリリースしてきましたが、GIGAスクール構想に対応する専用デバイスを開発しているメーカーはあまりありません。当初より一貫して「とことん子ども目線」を掲げてきた結果、教育現場から高い評価をいただいています。

 新たなデバイスの調達は多くが2025年度から2026年度にかけて実施されると見込まれていますが、早い自治体では2024年度中に調達が進む予定です。Dynabookでも「NEXT GIGA」を見据えた準備がすでに整っています。GIGAスクール構想第2期でも、多くの学校でたくさんの児童にDynabookの端末を使っていただき、よりよい学びをサポートしていけたらと思っています。

中村氏:AIの導入が進む中で、子供たちが将来、世界で活躍するためのスキルを身に付けることは、ますます重要になります。WindowsやMicrosoft 365といったツールをうまく使って、子供たちが世界で戦うための力を培うための製品に携わることに、誇りと責任を感じています。これからも、子供たちが安心して学べる製品の提供とサポートを続けていきたいと考えています。

--ありがとうございました。

 GIGAスクール構想が始まって以来、現場の先生たちもデバイスの提供者も、チャレンジと気付きの連続だったに違いない。その最前線で奮闘してこられた担当者の方々への取材を通じて、Dynabookがいかに現場の声を真摯に反映し、製品開発とサポート体制の充実に尽力してきたかを理解することができた。今後も、未来ある子どもたちの学びを支えるために、さらなる進化を続けていく同社の取り組みに期待したい

引用:リシード ReseEd

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