昨年、世界最高峰の舞台で過去最高の結果を残し、日本中にラグビーブームを巻き起こしたラグビー日本代表。高い組織力を誇るチームを牽引したキャプテンのリーチ・マイケル選手と、最年長&最多キャップ(最多出場)選手としてチームを支えた大野均選手は、ともに東芝ラグビー部「東芝ブレイブルーパス」の一員です。2人に、世界に挑み結果を残せる強い組織作りの秘密などを聞きました。
最高の舞台で戦うための組織論
世界のラグビー界を驚かせた日本代表の強さの理由
昨年、世界中のラグビーファンが注目する中、日本代表は世界屈指の強豪から歴史的大金星を奪いました。体格面などでは不利な日本がその差を覆すことができた原動力は、その日のためにスタッフ、選手全員で築き上げてきた組織としての強さです。
組織強化の要は、効果を納得でき、結果に結びつく基礎作り
Q:日本代表が世界の強豪と互角以上に戦うことができた最大の理由、チームとしてのストロングポイントは何だったのでしょうか?
大野:一番はハードワークです。チーム全員、選手だけではなくスタッフも含めて、本当に毎日ハードワークをしてきました。フィールドの中でも外でも、それぞれがその時々にできる最善のことに常に取り組んできた結果だと思います。
リーチ:そうですね。私もハードワークが大事だと思います。つけ加えるなら、ただハードワークをするだけではなくて、しっかりとプランを立ててハードワークをしたことが重要だったと思います。ひたすら理不尽に体を動かすだけではダメ。「こうなりたいから、こういうハードワークをする」という、選手自身が納得できる理由が必要です。
大野:HC(ヘッドコーチ)のプランニングが本当にハードなものだったので、最初のうち、選手は必死になって、それについていくだけだったのですけどね(笑)。しかし、最大の目標としていた大会が近づいてきてからは、選手の中でも主体性を持とうという意識が強くなっていき、キャプテンのリーチさんの下で、チームがさらにしっかりとまとまっていきました。
一人ひとりの集中力と献身性が、強い組織を生み出す
Q:さまざまなチームとの対戦経験をお持ちのお2人ですが、パワーや技術など以外に、強いと感じるチーム(組織)の共通点などはあるのでしょうか?
リーチ:トップのチームが持つ強さは、「疲れてきたときにミスをするかしないか」です。疲れているときも集中力を保ち、ミスを少なくすることのできるチームは強いです。日本代表も、そういったチームになっていったと思います。
大野:身体を張って戦うことですね。日本代表は、世界で試合をすると、いつも身体のサイズが相手よりも小さい。しかしいくら相手が大きくても、身体を張らない選手が多いチームはあまり脅威に感じません。世界でもトップのチームは、大きい上に身体を張ってくる選手が多いのです。
その意識の違いによって、同じチームが大きく変貌します。例えば、それまで何度も勝っていた相手なのに、大きな大会で対戦したら意気込みがまったく違っていて、まるで別のチームのように感じることもあるのです。相手選手の身体を張ったプレーに押されて、負けてしまったこともあります。身体を張る、つまり自分の組織のために、自分のできることをやりきれる人間が多いチームは、強い組織だと思います。
組織を強くするためのリーダー論
個々の才能を一つにまとめるリーダーの役割
所属チームでは中心となっている選手ばかりで構成されている日本代表は、非常に個性も豊か。キャプテンのリーチ選手と、歴代最多キャップ&チーム最年長選手の大野選手は、個々の才能をどのようにしてまとめ、チームとしての強さに昇華させていったのでしょうか?
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