対話的な学びを支援する タブレットPC活用の新たなスタイル
~ 個人フォルダの活用で、もっと便利に簡単に。データの共有・整理を実現 ~
タブレットPCのデータをTransferJet™で共有して主体的・対話的な学びを実現
日本教育工学協会(JAET)より2015年に「学校情報化優良校」、2017年に「学校情報化先進校」の認定を受けるなど、ICTに積極的に取り組んでいる高森中央小学校 様。授業の「導入」「展開前段」「展開後段」「終末」の各授業シナリオをそれぞれ「たしかにつかむ」「かんがえる」「もっとふかめる」「ふりかえる」と「たかもり」の字を含めて提示することで、児童たちに授業展開の意識づけを行っている。
今回は同校が鹿児島大学・山本朋弘准教授とともに取り組む課題解決型学習モデル、「たかもり学習」のひとつの実例として、坂本博紀教諭による6年生の国語の授業「『鳥獣戯画』を読む」を取り上げる。
たしかにつかむ(導入)
児童たちはタブレットPCを持ち帰り、あらかじめ家庭学習として鳥獣戯画の蛙の絵の格好、言葉、表情、気持ちなどについて考え、シートに記入。導入は、まずそのシートを先生に提出するところから始まった。提出とは言っても、児童たちがすることは教卓に置かれた先生のタブレットのTransferJet™(近接無線通信)対応アダプタに自分のアダプタを近づけるだけ。あっという間に提出が完了する。また、個人フォルダ管理ソフトdynaSchool Pocketと連携させることで提出者の個人フォルダが自動的に作成されるため、先生側でデータを整理する必要もない。
提出後、「友だちの見かたと自分の見かたを比べて読み、感想を伝え合おう」という本時の「めあて」が発表された。
かんがえる(展開前段)
続く展開前段では、グループに分かれての授業。今度は児童どうしのアダプタを近づけてシートを交換し、自分の見かたとの共通点や相違点についてまとめ、感想を追記する。
シートへの文字の入力はキーボードで行うが、児童は慣れたもの。同校の目標である「手書きよりも早いスピードを身につける」は着実に実を結んでいるようだ。
さらにグループ内で各自の意見を活発に交換しながらグループとしての意見をまとめ、電子黒板で発表。まさに「対話的な学び」の実践だ。
もっとふかめる(展開後段)
シートをふたたび交換した後は、グループ内で出た共通点・相違点をホワイトボードにまとめていく。
さらにその結果を各班の代表者が電子黒板を用いて発表し、全体での知識の共有を図る。同じ大きく口を開けている蛙の絵を見ていても「大笑いしている」ととらえる児童もいれば「悔しがっている」ととらえる児童もいるなど、各自のとらえ方に思っていたよりも大きな差があることに驚いた様子の児童も見受けられた。
ふりかえる(終末)
最後に学習の振り返りをシートに書き込み、もう一度先生に提出。今回の授業を通して、児童たちは人によって物の見かたが異なることを学び、さらに文章から筆者の考えを読み取る、という次の段階へと進む。
データ提出
まずは家庭学習で書いた作文を先生に提出。
教卓に置かれたタブレットPCのTransferJet™対応アダプタに自分のアダプタを近づけるだけ※で完了。
※ あらかじめ「dynaSchool Pocket」で「使用する」設定が必要です。
通信距離は数センチメートル以内ですが、出来る限り近づけてください。
データ交換
児童間でのデータの交換にも
TransferJet™を使用。
テキスト入力
2in1の利点を活かし、
キーボードを使用して文字を入力。
タブレットPCのデータを共有したいが、サーバの決められたフォルダにアップロードするとなると児童には敷居が高く、また先生が全員分の作業を行うのは手間がかかる―――そんな悩みを抱えていた高森中央小学校 様が採用したソリューションが、dynaSchool PocketとTransferJet™の組み合わせだ。
特にタブレットPCで利用されることの多い動画などの大容量データのやりとりは時間的にも負担になっていたが、TransferJet™の近接高速無線転送技術で数秒で完了する。また、転送データはdynaSchool Pocketにより自動的に個人フォルダに分けられるため、作成者も一目瞭然。授業後もそのままサーバにデータをアップロードできる。
従来はサーバの共有フォルダにデータを保存していたが、ファイル名だけでは作成者が分からないなどの不都合があった。
dynaSchool PocketとTransferJet™導入後は、手順も簡単で時間もかからないことから、より手軽にデータの共有・提出が行えるようになった。
「タブレットPCの利点はテキスト入力とデータ共有」
高森町立高森中央小学校 坂本博紀 教諭
高森町立高森中央小学校
坂本博紀 教諭
体育の授業を動画で撮影
撮影した動画をTransferJet™で共有
今回の授業を受け持った坂本教諭によれば、高森中央小学校 様の特長は「ICTを活用した授業改善」にあるという。自身が実施した遠隔授業やプログラミング教育などを通じて「深い学び」を実践できていると感じている。
その中で、タブレットPCの果たす役割のひとつにデータの入力がある。授業中にも垣間見られたように、同校の6年生は多少の個人差はあるものの、すでに手書きよりも速いスピードで文字を入力することができる。キーボードのついた入力装置、という役割だ。そしてもうひとつの役割がデータの共有と整理。dynaSchool Pocketは、TransferJet™で提出したデータを各児童の個人フォルダに保存するため、児童自身の学習プロセスの振り返りを可能にした。そしてメリットは教諭側にも。児童の書いたノートは返却してしまえば教諭の手元には残らないが、デジタルデータであれば一度回収しておけばいつでも見返すことができる。評価の参考としたり、前時の児童の感想から次の授業を組み立てたりと活用範囲は広い。その他、児童の作品を自身のタブレットに転送し、デジタイザーペンでさっと書き込んで返すなど、ここ1~2年でかなり使用頻度が増えた。
算数・社会から導入を開始し、動画機能を活かして家庭科での実習の様子を撮影したり、体育でお手本となる動画を配布したりなど、ここ数年で適用範囲を順次拡大。今回、書く作業の多い国語へと活用の幅を広げたことで、もはやタブレットPCは同校の授業にはなくてはならない存在となっている。
「データの配布方法を変えるだけで主体的・対話的な学びは実現できる」
鹿児島大学 山本朋弘 准教授
鹿児島大学
山本朋弘 准教授
高森中央小学校 様との関わりは今年で5年以上。教育工学、情報教育、教師教育のエキスパートとして、ICTを活用した主体的・対話的な学びの授業デザインなどで同校を支援してきた。
タブレットPC持ち帰りによる反転学習の効果は周知されつつあるが、その反面、先生の負担が増加することが普及を妨げる壁になっていると感じていた。例えば動画を持ち帰らせようとすると、容量が大きいため配布に時間がかかったり、うまく受け取れない児童生徒が出てきたりする。ところが、今回導入したソリューションにより、児童生徒が自主的にデータを受け取りに行くという動きになった。先生が何らかのアクションを起こして配布する従来の方式は、ちょうど口を大きく開けて待っている小鳥の口元まで親鳥が餌を持って行ってあげるようなもの。先生の負担は大きい。それに対して現在は児童生徒自らが先生のタブレットPCまでデータ、つまり餌を取りに行く。データの配布方法を変えるだけで、児童生徒が主体的になっていることが分かる。また、個人フォルダ管理ソフトは、いわばポートフォリオを自動生成しているようなもので、児童生徒の学びの蓄積に有効である。
この方向性をさらに推し進め、児童生徒が自律的に学び、さらにそこから自然に対話が生まれるような環境を構築することができれば、確実に深い学びへとつながる。また、先生側の負担も軽減され、児童生徒と向き合ったり、個人指導を行ったりなどの支援活動に時間を割くことができる。これこそまさに「教師が何を教えるか」ではなく「児童生徒が何をどのように学ぶか」に重点を置く、21世紀型教育実現への大きな一歩となるのではないだろうか。
※記事中の所属・肩書き・学年は2017年取材時のものです。
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