タブレットPCの活用で協働学習を促進
~ デジタルノートの共有がひらくアクティブ・ラーニングの世界~
道徳の授業へのタブレットPCの活用
児童のほとんどがスマートフォンを使用できる環境にありながら、使用に関するルールを定めている家庭は半分以下という実態が把握できた
児童のほとんどがスマートフォンを使用できる環境にありながら、使用に関するルールがある家庭は半分以下と言う実態が把握できた
新学習指導要領が完全実施される2020年に向け、多可町は「これからの教育環境づくり」をテーマとしてICTの授業への活用に積極的に取り組んでいる。
その中心校である多可町立中町北小学校 様では、6年生28人全員に1人1台のタブレットPCを配布。インテル® Atom™ x5-Z8350 プロセッサー搭載で軽量・薄型・バッテリー駆動約7時間の「dynabook Tab S80」を日常的な学習ツールとして活用し、児童への効果の検証を進めている。今回はそうした取り組みの中から、道徳の授業「スマホのルール」を紹介する。
導入では、事前に行ったスマートフォンに関するアンケートの結果を担任の藤井博先生から発表。各家庭での使用実態を把握した後、ビデオ教材を視聴した。
隣の児童が書きこんだ内容が自分のタブレットPCにも即座に表示されるため、あちこちで対話的な学びが実現していた
児童のほとんどがスマートフォンを使用できる環境にありながら、使用に関するルールがある家庭は半分以下と言う実態が把握できた
続く展開では、動画の中でのスマートフォンの使いかたで「おかしい」「問題だ」と感じた点を各自授業支援ソフト「dynaSchool Support」に手書きでメモ。先生のタブレットPCには児童たちの記入状況が一覧表示される。そのため、先生は児童に記入を促したり、良い意見を紹介し共有したりすることができ、協働授業の下地づくりをスムーズに行える。
その後、ストーリーを振り返りながら多くの児童があげたポイントを整理。さらにグループ別にデジタルノート共有ソフト「dynaSchool TruNote Classroom」でワークシートを配信し「ルールの決め方で良かった点、悪かった点」について各自で記入しながら話し合わせた。グループの中でお互いが書きこんだ内容をリアルタイムで把握できるため、活発な意見交換が行われた。
タブレットPC、各種授業支援ソフトおよび大型提示装置の組み合わせにより協働学習、アクティブ・ラーニングを実現
児童のほとんどがスマートフォンを使用できる環境にありながら、使用に関するルールがある家庭は半分以下と言う実態が把握できた
そしてまとめでは、各グループの意見をクラス全体で共有。先生は大型提示装置に全グループを一覧表示したり、一覧から選択したグループを表示したり、重要な部分を拡大したりと、大型提示装置とソフトの機能を最大限に活かして児童の発言を促進。協働学習を通じて主体的・対話的で深い学び、すなわちアクティブ・ラーニングが見事に具現化されていた。
今回の授業は、児童にとってはスマートフォンの使いかたや家庭内ルールの決めかたについて考えることはもちろん、情報モラルを確認する良い機会になったようだ。
「タブレットPCは児童のそばに」
多可町立中町北小学校 藤井博 先生
同校でのICT普及に関わった藤井先生にタブレットPC導入時のポイントについて聞くと「モチベーションの維持」の答え。常に使えるよう、児童のそばにおいておくことが大事だという。その効果か、現在ではタブレットPCは漢字の書き取りなど「紙ではしないこと」でも楽しんで行える、重要なツールとなったそうだ。
「誰でも使えるデジタル教材を」
多可町立中町北小学校 吉田典之 校長
同校の播州歌舞伎クラブは今年設立30周年を迎え、記念公演を開催。地域から多くの来賓を集め大好評だったが、そこでもPCを使ったプレゼンを実施するなどICTを積極的に活用している。
今後はさらに一歩進んで「誰でも使えるデジタル教材の完成をめざし、最適化を進めていきたい」と吉田校長は語る。
デジタルノートの情報をリアルタイムで共有
dynaSchool Supportは、Wi-Fi®環境があれば普通教室でも使用可能なタブレット対応授業支援ソフト。さらに手書きペンツールを標準搭載しており、サーバーの設置は不要だ。
今回の授業では、藤井先生が作成したワークシートの配布、児童が記入した回答の回収などで活躍。特に教材の回収では、日付、クラス、教科、児童生徒名などの情報が自動保存されるため、データ整理にかかる時間を短縮できるほか、ポートフォリオの作成などにも活用できる。
dynaSchool TruNote Classroomは、協働学習、アクティブ・ラーニングに適したデジタルノート共有ソフト。Wi-Fi®環境さえあれば手軽に導入できる。
今回の授業では児童の記入状況の確認を始め、大型提示装置への教材の一覧表示や選択表示、拡大表示で使用。活用範囲は広い。さらに授業後半のようにひとつのワークシートに対して複数人で書き込むことで、協働学習の実現を支援する。
「タブレットPCには2つの利点がある」
新見公立短期大学 梶本佳照 教授
兵庫県三木市立教育センターの所長在任中にICT環境の整備やICT教育研修などに携わり、文部科学省ICT活用教育アドバイザーなどを歴任した梶本教授。その縁から多可町のICT活用、タブレットPC導入を積極的に支援している。
タブレットPC導入後、とりあえず授業で使いながら活用方法を探る、という展開が散見されるなかで教授は「ノウハウを蓄積してからの導入」を推す。まずは教師側が導入の利点を十分理解してから授業に使うべし、との考えだ。
タブレットPCには「意見交換のためのツールとしての利点」と「教科独自の理解を深めるツールとしての利点」の2つがあり、そのどちらの目的に使うかを明確に意識すべきとのこと。現在周知されつつある意見交換・協働学習を支援するツールという前者の利点に、例えば、「大きい数のわり算を考える単元(□まいの色紙を、3人で同じ数ずつ分けます。1人分は何枚になりますか?)では、教科書の挿絵と同じ図を事前に教材で準備しておいて、個々のタブレットPCで実際に図を動かしながら試行錯誤する」ような理解を深めるツールという後者の利点が加われば、タブレットPCの活用効果はよりいっそう高まるはずだ。本日の授業でのタブレットPCの活用については「意見の見える化」が行われていた点を高く評価。タブレットPCの活用により各自の考えが深まり、自然とお互いの意見を出し合う雰囲気が出ていたと分析。同校への尽力は着実に実を結んでいるようだ。
「実績をもとにさらなるICTの導入拡大へ」
多可町教育委員会 学校教育課 神崎進吾 指導主事
多可町教育委員会 様でICT活用を担当する神崎指導主事。自身も中学校の教員時代にタブレットPCを活用した社会科の授業を実践した経験があり、3年にわたり現場に則したICT導入支援を行っている。
特に重視していることが「環境の整備」。どんなに便利なツールでも、使用するために教室の移動や機器の運搬などの一手間が加わるととたんに活用のハードルがあがってしまう。導入当初はとにかく使用までの準備作業を減らし、「すぐに使える」環境を整えることに注力したそう。
本日の授業については「タブレットPCの活用により、授業にテンポ・リズムが生まれているように感じる。児童も授業に集中しやすく、思考に費やす時間がより多く確保できているようだ」との感想。模造紙等を使えば同内容の授業は実現できるが、ICTの導入によりさらに効果的な学習が実現できていると言えそうだ。
また、当初の目標のひとつであった学力向上の面でも早々に導入効果が出ている。「実証研究実践校に選ばれたことで児童、教員のモチベーションが上がったことも一因では」と分析しつつも、当初の期待以上の結果が得られたことは事実。こうした実績をもとに、次年度はさらなるICT導入拡大に臨む。
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dynabook VC72商品詳細ページ
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