お客様導入事例 | 株式会社さなる（佐鳴予備校）様

インタラクティブ性を持たせた授業と、帰宅後の学習支援の強化を目的に、タブレットデバイス導入を検討。

佐鳴予備校 様では現在では小学生から高校生まで、年間約3万人もの生徒が同校で学習しています。

多くの生徒と父兄から支持される予備校へ発展してきた理由について、同校を運営する株式会社さなる 本部運営管理室 課長 山田 敦範 氏は次のように説明します。

山田氏「当校の大きな特徴は、『最大であるよりも最良であることを誇れ』という企業理念を教育現場で実践してきたことです。生徒のためになる『最良の教育を与えたい』という熱い思いを、当校の教師は持っています。その思いのもと、日々教壇に立っていますので、それが生徒へも伝わっているのだと思います」

同校は、最良の教育を実施するにあたり古くからICTの活用を積極的に取り組んできました。株式会社さなる IT室 課長代理 新井 強志 氏は、次のように振り返ります。

新井氏「20年前にコンピューターを用いたプリント学習（『学力トレーニング』）を取り入れましたが、当時はかなり先進的な取り組みだったと思います。2002年には、マルチメディア教材をプロジェクターで投影しながら授業を行える電子黒板（『See-beシステム』）も導入しました。どちらも、生徒にとって、より効率的・効果的に学力を高めることが狙いです」

2010年からは新たな取り組みとして、タブレットデバイスの採用を検討したといいます。

眞野氏「教師と生徒のコミュニケーションにインタラクティブ性を持たせること、帰宅後の学習を支援することで、自発性をさらに伸ばせると考えました」

まず検討されたのは、「どのようなコンテンツをもって最良の授業を提供するか」という点。しかしそこには、大きな壁があったといいます。

眞野氏「展示会などさまざまなイベントに足を運び、当校に合うソリューションがないか探しましたが、既存のパッケージでは合致するものがありませんでした。開発している方が教師ではないこともあり、どうしても現場が必要とする機能や使い勝手と製品との間にズレが生じるのだと思います」

くわえて、タブレットゆえの難しさもあったといいます。

新井氏「ICTの活用は、遊びと学習のバランスが非常に重要なのです。生徒たちが喜ぶことは目に見えていました。だからこそ、遊びのツールになってしまう懸念があったのです。遊びがありつつも本質は学習への自発性と学力向上につながるツールでなくてはならず、そのバランスは私たちにしかわかりません。結果として、システムをわれわれで開発することに決定しました」

開発に際し、システムの企画開発とそれを載せるデバイスの選定作業は同時並行で行われましたが、当初デバイスにはAndroidタブレットの採用を検討していたと新井氏は語ります。

新井氏「iPadは操作性がよい半面、カスタマイズが難しい点がネックでした。Androidはその点が柔軟でコストも低かったため、まずはAndroidデバイスの採用を前提に開発を進めました」

しかし、Androidデバイスではさなる式タブレットの求める要件に満たない点もあり、結果として開発と検討期間は長期となったといいます。

新井氏「インタラクティブな授業を実現するべく、ストレスの無いペン入力を求めていたのですが、さまざまなデバイスを試したものの、この点については期待値を超えるAndroidデバイスが無かったのです」

山田氏「中途半端なモノは導入しないことが私たちの方針です。そのため、開発と検証を重ねているうち、気がつくと数年が経過していました」

コストよりも機能性を重視。ペン入力の精度と
Windows OSゆえの既存資産の有効利用が決め手。

プロジェクト開始から3年ほどが経過した2014年5月、開発速度を一気に加速する出来事があったと眞野氏はいいます。

眞野氏「ペン入力については妥協できないと思っていた頃、同年12月に発売予定のWindowsタブレット『dynabook Tab S80』の試作機でペン入力を試してみると書き心地が抜群に良く『これだ!』と思いました」

新井氏「本当に紙に書いているのと同じ感覚で書けるのです。このデバイスであれば、インタラクティブな授業を納得するレベルで実現できると確信し、その日のうちに理事長へ提案したことを覚えています」と、新井氏も当時の衝撃を振り返ります。

これまでAndroid向けに開発していたシステムがWindows向けに変わるため、開発コストがかさみました。デバイス自体のコストも、Androidタブレットと比較して2倍以上もの差がありました。しかし、それだけのコストや労力をかけてでも、dynabook Tab S80を採用するメリットがあったと眞野氏は続けます。

眞野氏「まずdynabook Tab S80のペン入力精度が、私たちの納得する『さなる式タブレット』に必須だと感じた点があります。また、電子黒板などで使っているWindows向けドキュメントも、そのまま活用できます。教育現場のみでなく多くの社会ではWindowsが標準的に使われていますので、受験の先にある生徒の人生を考えた際、Windowsに触れる機会を増やすことはメリットになるとも考えました」

優れたペン入力精度とWindows OSがもたらすメリットを評価し、同校ではさなる式タブレットにdynabook Tab S80を採用することが決定。システム面の開発を経て、2015年6月より中高一貫コースを受講する生徒への配布を開始し、2016年3月からは、中学生と高校生の本科コース受講生徒全員へ、約30,000台の配布を予定しています。

反転授業でみえた学習意欲の向上と、
暗記における有効性。

2015年6月、さなる式タブレットは、中高一貫コースを受講する生徒へまず配布され、反転授業の用途で用いられました。反転授業とは、あらかじめ、生徒には自宅で予習をしてきてもらい、教室では応用問題に取り組む形式の授業を指します。

さなる式タブレットには現在、家庭学習を支援する機能として「要点解説動画」「解説カメラ」「学習支援ツール」「学習ゲーム」など6つの機能が搭載されていますが、これらの機能を用いた反転授業によって、大きな成果が得られたと山田氏は語ります。

山田氏「中高一貫コースを開始する前は、特進科として授業を行っていました。特進科では、ハイレベルな応用問題を講義形式で行っていたのですが、これまではついていけずに脱落してしまう生徒もいました。しかし映像を利用した反転授業を行った中高一貫コースでは脱落する人が激減し、積極的に空き時間を活用して勉強する生徒が増えたことは事実です」

インタラクティブな授業実現へ向け機能拡張し、
さらなる学習意欲と学力向上を目指す。

タブレットデバイスという新たなICTを授業に取り入れた同校は、最良の教育へ向け、今後も機能面のアップデートを行っていく予定です。

眞野氏「まず検討しているのは、英語コンテンツの機能強化です。2020年度の大学入試より、『読む』『聞く』『書く』『話す』という4技能が英語には問われることになります。『書く』ことへはさなる式タブレットのペン入力が大きく生きると思います。また、現在まだ整備されていない『話す』技能を強化するべく、たとえば英語の発音がチェックできる機能を追加するなど、これから検討していきたいと思います」

また、山田氏は、約30,000人の生徒へ向けたインタラクティブな授業を実現するコンテンツの拡充も計画していると話します。

山田氏「dynabook Tab S80の利点を生かすべく、授業中にペンを活用できるコンテンツの開発に注力する予定です。いまでも、出題から回答までの速度を即座にランキング表示するような機能があるのですが、このような教師と生徒、インタラクティブなコミュニケーションができるコンテンツを増やしていきたいと思っています」