神奈川県立
生田高等学校 様
(教育ICT)
1年「物理基礎」を担当する長妻令子教諭は、グループ学習でタブレットPCを活用している。「仕事と力学エネルギー」の単元では、これまで、実験を行ってきたが、本時については各グループにタブレットPCを1台ずつ配り、シミュレーターを使って力学的エネルギーに関する仮想実験を行った。
このシミュレーターは、「力と運動」「位置エネルギーの測定」「運動エネルギーの測定」の3つの実験をタブレット上で行うことができ、この日の授業では、そのうち2つの実験を行った。
まず【実験1】では、シミュレーターを使う前に、異なる高さからピンポン玉をビーズ状の発砲スチロールが入った容器に向けて鉛直に落下させ、発泡スチロールが飛び出る様子を実際に観察させた。次にグループごとにタブレットPCでシミュレーターを起動させ、シミュレーター上で「落下させる高さ」と「落下させる物体の質量」を変え、打ち込まれるくいの深さがどのように変化するかを調べた。
さらに【実験2】では、水平面上で台車をいろいろな速度で杭に衝突させ、打ち込まれる杭の深さがどのように変化するかを調べた。
生徒はいずれの実験においても自主的に役割分担を決め、互いに協力して実験を行っていた。また、仮想実験の結果を自分のワークシートにグラフで記入するとともに、仮想実験の結果からどのようなことが考えられるかをグループごとに話し合った。
一方、授業者はいくつかのグループのグラフを教員用PCのカメラ機能で撮影し、プロジェクター画面でクラス全体に提示した。その結果、【実験1】では「位置エネルギーは高さと質量に比例して大きくなること」、【実験2】では「運動エネルギーが質量に比例し、速度の2乗に比例すること」を生徒自 身に気づかせることができた。
11.6インチフルHDの大画面だから見やすい。グループで同じ画面をみながら、仮想実験と記録の各役割をスムーズに行い意見交換。
シミュレーターを使う前のピンポン玉を使った実験。
生徒が作成した実験結果グラフを教員用PCのカメラで撮影し投影。
用途に応じてタッチとデジタイザー
ペンを使い分けて操作。
デジタイザーペンでシミュレーターを
操作。ペン先のタッチ位置が正確なの
で細部の操作にも適している。
神奈川県立生田高等学校 長妻教諭
神奈川県立生田高等学校
長妻教諭
長妻教諭は、授業にタブレットPCを活用することによって生じた変化として、①グループ内での話し合いがごく自然に活発になったこと。②生徒が発表する機会が増えたこと。③これまでとは異なる授業の組み立てができるようになったことの3点をあげている。物理で活用することの利点については、「物理は現象を見せ、自ら考え、考えた結論と根拠を他者に説明することが必要なので、タブレットPCを使えば、見せられなかった現象を仮想実験で行え、分析や思考の過程では、表やグラフにまとめるといった学習活動が展開できる。調べ学習なども、PC教室にいくほどではないがPCがあると便利、という場面に活用できる」という。今後のタブレットPCを用いた新たな展開としては、プレゼンテーションソフトを活用して生徒自身に実験のまとめを発表させたり、様々な実験シミュレーション教材の活用も検討している。
神奈川県立生田高等学校 様(高井俊行校長)は、県の「ICT利活用教育推進スーパースクール校」の指定を受け、平成26年度より3年間の計画でICTを利活用した授業づくりを進めています。同校では、Windowsタブレット「dynabook V714」を40台配備し、自然科学コースの生徒用を中心に普通教室での授業や校外活動でも活用しています。配備した「dynabook V714」は11.6インチの大画面でキーボード着脱式、デジタイザーペンによる自然な書き心地を追求したモデル。さらに充電保管庫2台(各20台収納)、無線LANアクセスポイント、無線LAN不正侵入検知・防御システムも整備し、協働学習を中心にした授業の取り組みをご紹介します。
神奈川県立生田高校 天野尚治総括教諭
神奈川県立生田高等学校
天野尚治総括教諭
学習支援グループのリーダーである天野尚治総括教諭は、「県全体の授業改善の方向性は、協働学習などにより言語活動の充実を図り、思考力・判断力・表現力の育成に繋げようとしている。この点を踏まえ、本校ではタブレットPCの活用をさらに推進していきたい。」と語る。
スタートして間もないが、既に授業の組み立て方や、授業中の生徒の様子に少しずつ変化が現れつつある。生徒はタブレットPCの活用をきっかけに、互いに意見を交わしながら課題の解決に向け、主体的な学習に取り組んでおり、興味・関心・学習意欲の増大や思考力の伸長にも繋がっている。様々な発表会や、夏休みの自然科学教室(1年生は富士山、2年生はつくば研究学園都を訪問)では、クラウドシステムを利用してまとめや報告を行うなど、授業や行事の様子を大きく変える原動力となっている。
今後に向けて、家庭学習でのタブレットPC活用も視野に入れている。「本校では家庭学習の時間の確保を大切にしたい。そこでタブレットPCやクラウドの仕組みを利用して、個別の学習支援や一歩進めた反転学習を取り入れて行きたい」と考えている。
神奈川県教育委員会 柴田指導主事
神奈川県教育委員会
柴田指導主事
神奈川県では2013年から、県立高等学校でタブレットPCの活用を開始している。2014年3月に発表した「電子化全開宣言行動計画」の一環として、一方的な知識伝達型の授業からアクティブラーニングなどの協働学習を実現する組織的な「授業改善」に取り組んでおり、現在2年目だ。柴田指導主事は、「全校で学習状況の観点別評価を通知表で示しており、思考力や判断力、表現力を育成・評価している。グループワークなどの協働学習を取り入れた授業改善を実現するツールとしてタブレットPCが役立つと教員が気づき始めているようだ。また、生徒のプレゼンテーションも変わった。提示するプレゼン資料も多様で、パワーポイントだけではなく、自分のまとめたノートやイラストをカメラ機能で撮影して活用する生徒もおり工夫が見られる。グループ1台における活用は高校においても授業を組み立てやすく、タブレットPCを活用した授業をさらに展開していきたい」と語る。
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インテル® Atom™ x5
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