お客様事例|タブレットがもたらす新しい学びのカタチ 益田市が取り組む地方創生プロジェクト~2年目~

タブレットがもたらす新しい学びのカタチ

益田市教育委員会・東京学芸大学・
東芝クライアントソリューション株式会社 タブレットがもたらす
新しい学びのカタチ
益田市が取り組む
地方創生プロジェクト~2年目~

導入製品・サービス
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プロジェクトの概要と進捗

プロジェクト2年目の匹見小学校と匹見中学校

島根県西部に位置する益田市。市ホームページの「きらめく自然、こころ癒されるまち」の言葉どおり、匹見峡や三里ヶ浜海岸などの豊かな自然に囲まれ、児童生徒が勉学に励んでいます。
同市で昨年平成28年度に開始された益田市教育委員会・東京学芸大学・東芝クライアントソリューション(株)による実証研究事業「タブレット端末を活用した新しい学びによる地方創生プロジェクト」は、タブレット端末の活用により児童生徒が主体的・対話的で深く学ぶ「アクティブ・ラーニング」を実現し、さらに学習記録データで授業・家庭学習・課外活動等をシームレスに連携させることを目標としています。
なかば手探り状態でさまざまな分野へのタブレット端末の活用方法を探った1年目に続き、2年目の今年度はその中から効果の高いものを抽出し適用する段階へ。そうした取り組みにより授業や児童生徒にどのような変化が訪れたのか、今回はプロジェクト参加校の中から匹見小学校と匹見中学校を取り上げてご紹介します。

成果

匹見小学校

成果

匹見小学校

活用レポート①

児童主体の授業を実践 ~匹見小学校の取り組み~

匹見小学校は昨年度閉校となった道川小学校が統合され、児童数22名の匹見町内唯一の小学校に。今年一番のトピックは同校の「緑の少年団」が全国約3,500団の中から最高賞を受賞し、表彰されたこと。
統合によりさらに校区が広がるなか、地域との連携を密にしながら、タブレット端末を活用してアクティブ・ラーニングおよび本時と家庭学習とのシームレスな連携に取り組んでいます。今回はそうした授業の中から、小松原先生による3年生算数「たし算・ひき算の筆算(1)」をご紹介します。

算数におけるアクティブ・ラーニングの実例

実例1

たし算の答えが大きくなるよう、3桁の数字を作る

「青色の3、5、8、赤色の3、4、6をそれぞれ並び替えて、答えが(もっとも)大きくなるようにたし算の筆算をつくりましょう」という家庭学習が与えられていた3人。授業の導入はまずその答え合わせから。小松原先生は一人ひとりに対し、「なになに?」「どうやったの?」「なるほど」などと声をかけながら、全員の答えが同じことを確認。
続いて本日の授業内容の発表。今度は同じ数字を使って「答えが小さくなるたし算」「答えが大きくなるひき算」「答えが小さくなるひき算」を作ります。
この授業は計算練習を重ねて筆算の習熟を図ることが目的ですが、ただ計算するだけでは児童が退屈するため、そこに考える要素をプラスしたことが先生の工夫です。

実例1

たし算の答えが大きくなるよう、3桁の数字を作る

実例2

タブレット端末を使って試行錯誤

今回、紙のプリントではなくタブレット端末を選択した理由は「書いたり消したりが頻繁になる」と予想されたため。
紙だとどうしても消すときに汚れたり破れたりして、子どもたちに余計なストレスを与え、時間のロスがあるとのこと。
逆に図形の授業などで「これは実際に手で触って動かした方が良いな」と思うものは紙の教材などアナログのものを使用しています。

実例2

タブレット端末を使って試行錯誤

実例3

自然に児童たちの言葉を 次から次に引き出してゆく

授業は基本的に児童どうしの対話によって行われ、先生は次の到達点を示すナビ役に徹するような形で進行します。
途中、「答えが小さくなるひき算」のところで、「大きい数から大きい数を引けば良い」という誤った推論を行った児童が(正解は百の位に同じ「3」を置く)。本人はすぐ誤りに気づきましたが、先生は「どうしてそう考えたの?」としっかり掘り下げます。
これは一人の児童だけが理解してどんどん説明してしまうと、他の児童が理解しないまま授業が進行してしまう可能性があるため。
絶対に理解して欲しい大事なところではペースを緩め、全員の理解度が揃うよう配慮することも先生の大事な役割のひとつです。

実例3

自然に児童たちの言葉を 次から次に引き出してゆく

実例4

自分の考えを的確に伝える力も身につきました

そしてお互いの意見を交換し合ううちに、ひとりの児童が正しい結論にたどり着いて無事解決。
「子どもたちが自由に発言し進む中でねらいにたどり着くことができる。」と信じる先生の、少し細かく聞いたり、他の子どもの発言を促したりなどといったアプローチが奏効した瞬間です。

実例4

自分の考えを的確に伝える力も身につきました

実例5

タブレット端末で黒板を撮影し、今日の学びを蓄積

最後にそれぞれ異なるたし算の筆算が書かれた紙をくじ引きで配布して、すべての児童に筆算が身についているかを確認します。しかし、ここで先生がまた一工夫。ひとこと「答えが一番大きい人が勝ちだよ」。そして全員の答え合わせが終わり、負けた児童が悔しがる中、「もっとやりたい人は、課題を配るからおうちでやっておいで。もっと大きい数があるかもしれないから次の授業で比べてみよう」とフォロー。高いモチベーションで家庭学習に取り組める環境を作り、授業を終えました。
すると授業後、児童のひとりから「先生、写真撮っていい?」との声が。まさに今日の学びを残しておきたいという児童の主体性が表れた一幕でした。

実例5

タブレット端末で黒板を撮影し、今日の学びを蓄積

実例6

「先生が何も言わずとも子どもたちが自然にゴールに向かう授業が理想」と語る小松原先生

授業後、あたらめて小松原先生にお話を伺いました。「今日の授業でも『子どもって凄いな』と感じました。私が言わなくてもいろいろなことに気づく。こうした瞬間は、一方的に知識を与える教育ではなかなかないのではないでしょうか」
こうした感想が漏れることこそ、アクティブ・ラーニングが実践されている証拠と言えるでしょう。

実例6

「先生が何も言わずとも子どもたちが自然にゴールに向かう授業が理想」と語る小松原先生

子どもたちが中心で、子どもたち自身が作る授業

子どもたちが中心で、子どもたち自身が作る授業

子どもたちが中心で、子どもたち自身が作る授業

同プロジェクトを支援している国立大学法人・東京学芸大学の森本教授に授業の感想をお聞きしました。

――本日の授業はいかがでしたか?

森本教授:小松原先生の授業はこの1年間でまたさらに進化しましたね。なにげなくふるまっているように見えて、授業中はずっとボケとツッコミに徹しながら、子どもたちから的確な答えを引き出しています。確実に知識を与えているのに、子どもたちにはまったくそれを感じさせていない。まさに子どもたちが中心で、子どもたち自身が作る授業です。主体的・対話的で深い学びを実現するアクティブ・ラーニングの実例として、とてもすばらしい授業だったと思います。

――そもそも、アクティブ・ラーニングの利点とはなんでしょうか?

森本教授:主体的な姿勢で授業に臨めば、課題に対して「面白そう」と前向きに関わることができます。また、自然に対話が生まれるような環境が整っていれば、間違えることを恐れずに積極的に発言できます。匹見小学校はもともと児童と先生の距離が近く、授業中にも会話が溢れているなどアクティブ・ラーニングの素地は十分にありましたが、タブレット端末の導入でさらにそれが促進され、深い学びが実現されたように感じます。児童も「できないから学んでいるんだ」という当たり前のことがしっかり理解できているようです。

――家庭学習にもスムーズに繋がっているように見えました。

森本教授:非常に意識して取り組まれていて、とても良いと思います。既に子どもたちには家庭学習と授業の境界線はなく、大きなひとつの学びとして意識されているのではないかと感じます。

――次年度の課題を教えてください。

森本教授:評価の見える化が実現できるとさらに良いですね。小松原先生の授業では、知識・技能、思考・判断・表現といった観点別の部分ではある程度目標を定めてそれに近づけようとしていますし、さらにどれだけ学びに主体的に関わり、今までできなかったことができるようになったかをしっかりと自覚できるように工夫しています。この「観点別の評価」と「主体的に学びに関わる態度に関する評価」をポートフォリオとしてうまく見える化し、さらに益田市独自のカリキュラム・マネジメントの構築につなげることができると面白いですね。

次年度も益田市と森本先生の、アクティブ・ラーニング定着に向けた取り組みは続きます。

「匹見スタイル」確立に向けて

「匹見スタイル」確立に向けて

「匹見スタイル」確立に向けて

昨年度、閉校した道川小学校から子どもたちとともに異動された校長の木村先生。前校から2年にわたり取り組んできたプロジェクトについてお話を伺いました。

――まずはプロジェクトのご感想を。

木村校長:1年目はとにかく漠然と何でもタブレットで撮影するということからスタートしました。その後説明に使う資料を自分で選んだり、撮影データを見ながら一緒に考えたりするうちに、思考するためのツール、表現するためのツールとしても使えることが分かってきました。2年目はその中で得た成果からより効果的なタブレット端末の活用方法の開発に取り組みました。

――タブレット端末により授業は変わったのでしょうか?

木村校長:現在は、従来の先生が引っ張っていくという授業スタイルから、子どもたちが自主的に授業を創っていくようなスタイルへの転換が求められていると思います。タブレット端末はそうした転換への良いきっかけとなったのではないでしょうか。予想以上に子どもたちの自主性が出て、時間的なマネジメントが難しいなど、課題もありますが、経験により乗り越えられると思います。

――今後の展開についてお聞かせください。

木村校長:来年度は2年間の蓄積を活かし、年間を通して計画的に授業を組み立てることが目標です。それにより教員が入れ替わっても継承できるような、しっかりした学びのスタイルを作っていきたいと思います。ちょうど匹見中学校でも木村校長:来年度は2年間の蓄積を活かし、年間を通して計画的に授業を組み立てることが目標です。それにより教員が入れ替わっても継承できるような、しっかりした学びのスタイルを作っていきたいと思います。ちょうど匹見中学校でも持ち帰りも含めて1人1台のタブレット端末が利用できる状態ですので、将来的には義務教育9年間にわたってICTを効果的に活用した「匹見スタイル」を確立したいですね。

将来的には小中で連携した「匹見スタイル」の確立を目指したい、と語る木村先生。来年度も教育のさらなる充実を図ります。

モデルケース

持ち帰りタブレットを活用した 匹見小学校の実践的な取り組み

モデルケース

タブレット端末を使用すれば、簡単な操作で写真や動画を撮り、その場で確認したり、記録したり、整理したりすることができます。匹見小学校では、その日の授業の大切なポイントや学びなおしてほしいことなどを課題として家庭に持ち帰らせています。児童はタブレットを活用し、持ち帰った課題に保護者とともに、またはネット回線を通じて離れた場所にいる友達とともに取り組み、時には授業中に撮影した友達が解答する様子などを見ながら、主体的・対話的に学びを深めています。そして次の授業はこの家庭学習の確認から始まり、児童はお互いの成果を話し合いながら学びを深めていきます。
この繰り返しにより、従来は「点」としてつながりがなかった各授業と家庭学習を一つの線としてシームレスに結び、単元全体を一つの大きな学びにしています。
さらに、今後は単元と単元をつなぎ、授業と家庭と地域を線で結び「地域すべてが一つの大きな教室」になるようなカリキュラム・マネジメントに取り組んでいきます。

活用レポート②

学力向上につながる「学び」を~匹見中学校の取り組み~

タブレット端末の課外活動への活用も積極的に進める匹見中学校。現在のタブレット端末の活用状況について、数学を担当する江尻先生と校長の前田先生にお聞きしました。

家庭学習を「当たり前」として定着させたい

家庭学習を「当たり前」として定着させたい

家庭学習を「当たり前」として定着させたい

これまでタブレット端末の家庭学習への導入に尽力してきた江尻先生。タブレット端末を活用して、生徒自身が数学の週1回のミニテストに向けた学習の結果をポートフォリオとして残すところから開始し、現在ではミニテストに限らず全ての家庭学習の結果を保存・蓄積し、フィードバックを受けながら自己の学習を深めるという流れを確立しました。
配信に気づかなかったなどのアクシデントを除けば提出率はほぼ100%を維持していますが、生徒たちに特別なことをしている感覚はないとか。「当たり前のように家庭学習に取り組み、次の授業につなげていますが、これは冷静に考えるととても凄いことだと思います」と江尻先生。

今後の目標は「いま当たり前にやっていることは凄いことなんだ」ということを教員側から積極的に評価として返すことで、生徒の自覚を促すとともに現在の家庭学習をさらに定着させ継続していくこと。「当たり前」をより「当たり前」にするための取り組みは続きます。

通常授業以外にもタブレット端末を活用

通常授業以外にもタブレット端末を活用

通常授業以外にもタブレット端末を活用

同校の教育活動の根幹はふるさと教育。匹見中学校に赴任されて今年で2年になる校長の前田先生は、こうした活動へのタブレット端末の活用も積極的に推進しています。例えば全校生徒が参加する郷土演舞の「石見神楽」や総合文化部の琴の演奏では、練習の様子を動画で撮影し技術向上に活かしています。
さらに文化祭や体育祭、入学説明会などで使用する発表資料は生徒たちがタブレット端末で撮影した写真や動画を整理・編集して自主的に制作したものを教員がチェックするという形を取っており、生徒たちの表現力・発信力の向上に寄与しています。

「タブレット端末を通じ、対話をしながら最後まで根気よくやりぬくという力が身についたと感じている」という前田先生。今年度からは小学校でタブレット端末を使っていた生徒が入学。ICT教育の継続の効果に対し、ますます手ごたえを感じているようでした。

プロジェクトの進捗と今後の展開

広がるタブレット端末の活用範囲~益田市教育委員会~

プロジェクトの進捗と今後の展開

プロジェクトの進捗と今後の展開

教育委員会の立場から本プロジェクトを見守ってきた学校教育課・教育改革推進室の中尾指導主事に、プロジェクトの現状と今後について伺いました。

――タブレット端末の活用状況はいかがですか?

中尾指導主事:児童生徒がタブレット端末を定規や分度器のレベルで使いこなしていると感じます。使いたいと思った時にはすぐに取り出して使う。例えば、以前は授業の最後に板書の中から、児童が大事だと思ったことを撮影するという活動がパターンとしてありました。しかし、現在では、児童が必要と思ったときに、必要な部分を自主的に撮影しています。先生が消そうとすると「ちょっと待って」と声がかかることもあります。

――ここまで定着した要因はなんでしょう?

中尾指導主事:プロジェクト開始時、「なんでも自由に撮影する」ということに十分な時間をかけたことが大きかったのではないかと思います。写真が良いのか、それとも動画が良いのか、どの角度で撮ったら後で見やすいのか、などをその都度考え、判断してきた結果の積み重ねにより、先生も児童生徒も次第に「撮る」ということの奥深さや効果を理解できるようになったのではないでしょうか。もし、活用場面を限定しすぎたり、教師が管理しすぎていたら、現在のような広がりはなかったかもしれません。子どもに任せる勇気が必要だと思います。

――児童生徒の様子に変化は見られましたか?

中尾指導主事:タブレット端末でお互いを撮影し合うことなどを通じて対話が促進され、学び合っている時間が増えました。また、全校集会や朝礼などで先生方が意図的に発表の機会を設けていることもあり、情報発信力が向上したと感じています。まさにアクティブ・ラーニングが実現されている。このことがとてもうれしいです。

――次年度の方針を教えてください。

中尾指導主事:中山間地域における有効性が把握できましたので、他の小学校へもタブレット端末を導入し、同時に匹見小学校の方法論をぜひ広げていきたいと考えています。現在、各小学校のPC教室には2人に1台の割合でノートPCがありますが、ひと学級分のタブレット端末に増やし、使いたい学級がすぐに使えるようにしていく予定です。また、先生にも2in1タブレット端末を支給する予定ですので、通常授業での児童生徒との情報共有などに役立ててほしいと思います。

益田市の進める「“生き抜く力”を身に付ける」を目標としたライフキャリア教育にも、思考ツールとしてタブレット端末を活用していきたいと語る中尾指導主事。今後も小中学校と連携し、新たな活用方法を探ります。

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