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お客様事例|タブレットがもたらす新しい学びのカタチ

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タブレットがもたらす新しい学びのカタチ

益田市教育委員会・東京学芸大学・
東芝クライアントソリューション株式会社 タブレットがもたらす
新しい学びのカタチ
益田市が取り組む
地方創生プロジェクト~1年目~

導入製品・サービス
dynabook Tab S80
dynaSchool Support
dynabook Tab 専用 EVA Case

タブレット端末で実現するアクティブ・ラーニング

次期学習指導要領改訂に向けて、文部科学省が重要と位置づけている「アクティブ・ラーニング」。
現在、島根県益田市では、益田市教育委員会・国立大学法人東京学芸大学・東芝クライアントソリューション(株)により、タブレット端末を活用した「新しい学び」による地方創生プロジェクトが実施されています。
本レポートでは、プロジェクトの概要と現時点での成果の一部を紹介します。

益田市が取り組む「新しい学び」

島根県西部に位置する益田市は人口約48,000人(平成28年10月末現在)。北に日本海を望み、市内には清流日本一にも輝いた高津川が流れるなど、豊かな自然に恵まれた土地柄です。また、水墨画家の雪舟や歌人の柿本人麿ゆかりの地としても知られ、文化の薫り高い地でもあります。
市の教育ビジョンでは「めざす子ども像」を「ふるさとを愛情をもって語り、地球的視野に立って社会貢献する自立した子ども」とし、それを実現するための「郷土愛」「発信力」「支え合い」など6つの重点目標を掲げ、益田市教育委員会を中心として学校・家庭・地域が有機的に関わりあう教育現場の実現を模索しています。
その活動の一環として、平成28年度より益田市教育委員会・東京学芸大学・東芝クライアントソリューション(株)による実証研究事業「タブレット端末を活用した新しい学びによる地方創生プロジェクト」を開始しました。
プロジェクトの目標は、タブレット端末の活用により児童・生徒が主体的、対話的に深く学ぶ「アクティブ・ラーニング」を実現し、さらに学習記録データで授業・家庭学習・課外活動等をシームレスに連携させるという壮大なもの。期間は平成29年度末までが予定されており、まだ実施途中ではありますが、既に大きな成果を生み出しつつありますのでそのいくつかをご紹介いたします。

 益田市が取り組む「新しい学び」 益田市が取り組む「新しい学び」

「益田ならでは」の強みを活かす

プロジェクトの実践校として名乗りを上げたのは匹見中学校、匹見小学校、安田小学校、道川小学校の4校。中山間地域を多く抱える本市は、学区は広く、都市部に比べれば児童生徒数も多くありません。
「まずは通信インフラ等が整った都市部の大規模校でモデルケースを作り、そこで得たノウハウを他地域に適用する」という考え方もありますが、益田市ではタブレット端末の導入はむしろ児童・生徒と教員や地域の人々との結びつきが深い中山間部でこそ効果が発揮できるのではないか、また都市部での導入の際にも参考となる事象が多いのではないかと考え、この4校を選定しました。

「益田ならでは」の強みを活かす

「益田ならでは」の強みを活かす

アクティブ・ラーニングから地方創生へ
						アクティブ・ラーニングから地方創生へ

本プロジェクトを主導し、実践校に定期的にサポートを行っている国立大学法人・東京学芸大学の森本康彦准教授に、このプロジェクトを始めるに至った経緯について伺いました。
「益田市の匹見小学校の複式学級、匹見中学校の少人数での授業に、はじめて参加させてもらったときの衝撃と感動は忘れることができません。教室中に会話があふれ、児童生徒と先生の距離がとても近く、一体感があるというか、皆が笑顔で生き生きと授業に取り組んでいました。そこには、自らが必死に考え、言葉や身振り手振りで表現し学び合うという『アクティブ・ラーニング』の素地が既にありました。児童生徒一人一人が主役で、先生が各人の学びのサポーターなんです。私は、ここにタブレットを持ち込んだら、更なる学びが覚醒すると思いました。情報が共有されることで、さらに対話が促進され、学びが継続的に記録され、学んだことが次の学びに活かされていく。ここでなら必ず新しい学びのカタチを創れると確信しました。」
このようにタブレット端末の導入により、主体的・対話的で深い学びである「アクティブ・ラーニング」をさらに充実させ、教育ネットワーク構築による新しい地域創生のカタチを創造し全国に発信する場として、益田市こそがふさわしいと森本准教授は考えています。

森本康彦(もりもと やすひこ) 東京学芸大学 情報処理センター准教授。自身のソフトウェアエンジニアとしての経験、中学・高校教諭としての経験等を活かし、教育現場へのICT導入などに関して実践的な支援を行っている。専門は教育工学。特に、学びの記録(eポートフォリオ/学習記録データ)の利活用と学習評価、ICT活用教育について詳しい。

森本康彦(もりもとやすひこ)

東京学芸大学情報処理センター准教授。自身のソフトウェアエンジニアとしての経験、中学・高校教諭としての経験等を活かし、教育現場へのICT導入などに関して実践的な支援を行っている。専門は教育工学。特に、学びの記録(eポートフォリオ/学習記録データ)の利活用と学習評価、ICT活用教育について詳しい。

森本康彦(もりもと やすひこ) 東京学芸大学 情報処理センター准教授。自身のソフトウェアエンジニアとしての経験、中学・高校教諭としての経験等を活かし、教育現場へのICT導入などに関して実践的な支援を行っている。専門は教育工学。特に、学びの記録(eポートフォリオ/学習記録データ)の利活用と学習評価、ICT活用教育について詳しい。

タブレットは「点と点を結ぶもの」

森本准教授は「タブレット端末はPCの代替品ではない」と考えています。かつて、授業でPCを活用する際は、使用するアプリケーションに合わせた授業デザインや進行を余儀なくされました。その点タブレット端末なら簡単な操作で写真や動画を撮り、その場で確認したり、学んだことをすぐに記録したり、整理したりすることができます。このように学習記録データを介して「学びの点と点を結んで線にできる」ことがタブレットの最大の魅力と捉えています。「学びにはつながりが不可欠です。たとえば、一単元の12回の授業はそれぞれ独立した点ではなく、単元全体としてシームレスにつながったひとつの線になるべき。授業と家庭学習がつながることで、学校での学びと家庭での学びがつながる。そして、別の教科等の学びとつながり、学年間・学校間・地域間のあらゆる学びがつながっていく。その橋渡し役として、タブレットが最適だと考えています。」

タブレットは「点と点を結ぶもの」タブレットは「点と点を結ぶもの」

家庭学習と授業との相乗効果を目指す ~匹見小学校の取り組み~家庭学習と授業との相乗効果を目指す ~匹見小学校の取り組み~

益田市立匹見小学校は益田市南部に位置し、紅葉の名所として有名な匹見峡を間近に望む、自然環境に恵まれた学校です。全校児童約20名の全員がタブレット端末を活用しており、授業だけでなく家庭学習にも活用しています。

益田市立匹見小学校は益田市南部に位置し、紅葉の名所として有名な匹見峡を間近に望む、自然環境に恵まれた学校です。全校児童約20名の全員がタブレット端末を活用しており、授業だけでなく家庭学習にも活用しています

益田市立匹見小学校は益田市南部に位置し、紅葉の名所として有名な匹見峡を間近に望む、自然環境に恵まれた学校です。全校児童約20名の全員がタブレット端末を活用しており、授業だけでなく家庭学習にも活用しています

LTE で家庭を結ぶ

多くの学校が抱える悩みですが、同校においても宿題の提出率を上げることが課題。原因のひとつは児童同士の家が遠く、分からない時に相談できないことでした。現在はLTE回線とタブレット端末を使用し、離れていても同じ画面を見ながら考えられるように。最近では子ども達が自主的に連絡を取り合い、学びあう姿も見られるそうです。
また、単元全体と家庭学習の組み立ても考慮し、「授業が楽しくなる家庭学習」を目指すことで、各授業と家庭学習の連続性を確保しました。

6年生は男子児童2名のみ。以前は電話を使って家庭学習の相談をしていた 授業中にもTruNote を使い、自然に対話や学びあいが起こるように 6年生は男子児童2名のみ。以前は電話を使って家庭学習の相談をしていた 授業中にもTruNote を使い、自然に対話や学びあいが起こるように

カメラ機能の活用

匹見小学校では全学年がタブレットを使用していますが、学年により使用する機能が異なっています。
中でも頻繁に利用されるのはカメラ機能。高学年になると「まなふりくん®* 」などのアプリケーションも使用しますが、特に文字入力を使用しない低学年ではカメラ機能の比重が高いと言います。
例えば算数の授業では、「まるい形を探そう」というテーマで校内を探索し、音楽準備室でドラムの写真を撮ったり、「身近で掛け算が使われているところを探そう」というテーマで下駄箱の写真を撮ったり。
従来は絵を描いていましたが、同じ時間でよりたくさんの材料を集めることができるため、理解が深まるといいます。

*「TruNote」は、紙のノートのようにアイデアやメモを手書きで残せる東芝オリジナル手書きノートアプリ。

下駄箱を縦×横の掛け算として捉え撮影する

下駄箱を縦×横の掛け算として捉え撮影する

下駄箱を縦×横の掛け算として捉え撮影する

「持ち帰り」の効果

同校では本プロジェクトに加え、益田市の「特色のある教育活動を支援する事業」の研究実践校指定を受け、「望ましい家庭学習のあり方」の研究にも参画しています。
その関係から、早期から全学年でタブレット端末の持ち帰りを検討し、家庭学習の充実を図りました。
持ち帰りにあたっては情報セキュリティ面での配慮をするとともに、教師が児童1人1人に目を配ることによって特に問題なく継続しており、メリットの方が大きいと感じられているそうです。
また、LTE通信に対応したモデルのため、家庭に帰ってからの児童間での交流にも役立っています。高学年では教師が家庭学習の進行具合などを確認し、コメントすることもあるとか。

家庭学習の一環として家族にインタビューした結果を発表

家庭学習の一環として家族にインタビューした結果を発表

取材当日の3~4年生を対象にした社会科の授業では、社会科見学で各自が撮影した動画を再生しながら、家庭学習の一環として行った家族へのインタビューなどを交え、地元の商店について勉強していました。こうした授業もタブレット端末あってこそといえるでしょう。

*「 まなふりくん® 」は学内外の学びをすべて継続的に蓄積・活用することができるeポートフォリオシステム。

家庭学習の一環として家族にインタビューした結果を発表

取材当日の3~4年生を対象にした社会科の授業では、社会科見学で各自が撮影した動画を再生しながら、家庭学習の一環として行った家族へのインタビューなどを交え、地元の商店について勉強していました。こうした授業もタブレット端末あってこそといえるでしょう。

*「まなふりくん®」は学内外の学びをすべて継続的に蓄積・活用することができるeポートフォリオシステム。

「消しゴムを使わない利点」

益田市立匹見小学校 広中 郁美校長

広中校長先生(匹見小)

広中校長先生(匹見小)

広中校長先生(匹見小)「どんどん仕掛けて行こう」を合言葉に、タブレット端末を様々な場面に適用してきた匹見小学校。
その原動力としての役割を果たしてきたのが校長の広中郁美先生です。当初は学力差を埋める個別学習のツールとして着目していたそうですが、現在ではアクティブ・ラーニングと家庭学習への応用に尽力しています。
先生が強調する利点が「消しゴムを使わなくても最初から考え直せる」こと。
従来の紙ベースの授業では、子どもが間違えてしまったと感じたら消しゴムで全てを消して最初からやり直し。消すこと自体に時間がかかるうえ、消す作業に没頭するあまり考えていたことを忘れてしまうことも。
デジタルであれば途中段階のものをいったん保存しておき、新規の状態から考え直せます。そうして思考の連続性が確保できることを一番の利点と感じているそうです。

学力向上につながる「学び」を ~匹見中学校の取り組み~学力向上につながる「学び」を ~匹見中学校の取り組み~

益田市立匹見中学校はわさびと鮎の産地として有名で美しい自然と豊かな森林資源に囲まれ、約20名の生徒たちが学んでいます。1人1台のタブレット端末を活用し、eポートフォリオシステム「まなふりくん®」等の活用により主体的で協働的な学びを目指しています。

益田市立匹見中学校はわさびと鮎の産地として有名で美しい自然と豊かな森林資源に囲まれ、約20名の生徒たちが学んでいます。1人1台のタブレット端末を活用し、eポートフォリオシステム「まなふりくん®」等の活用により主体的で協働的な学びを目指しています。

益田市立匹見中学校はわさびと鮎の産地として有名で美しい自然と豊かな森林資源に囲まれ、約20名の生徒たちが学んでいます。1人1台のタブレット端末を活用し、eポートフォリオシステム「まなふりくん®
						」等の活用により主体的で協働的な学びを目指しています。

「まなふりくん®*」で前回の授業内容を想起

取材に伺った日はちょうど期末試験明け。試験や答え合わせのため、前回の授業から1週間ほど期間が開いてしまいました。そこで授業の冒頭では、生徒たち自らが撮影した前回授業の黒板と、eポートフォリオシステム「まなふりくん®」の学習記録を確認させて授業内容の想起を図ります。
50分という本時の枠に囚われることなく、生徒たちの反応を確認しながら授業を進める江尻先生の姿が印象的でした。

*「まなふりくん®」は学内外の学びをすべて継続的に蓄積・活用することができるeポートフォリオシステム。

黒板のポイントとなる部分を拡大してモニターに投影  「まなふりくん®」は学習者自身が学習記録を蓄積できるツール 黒板のポイントとなる部分を拡大してモニターに投影  「まなふりくん®」は学習者自身が学習記録を蓄積できるツール

「学んだこと」の定着のために

江尻拓平先生は同校で数学を担当し、講師としての立場から実証研究をサポートしています。
中学校では、小学校に比べて、ペーパーテストの点数等の客観的な尺度で評価される機会が多くなります。子どもたちの学びを継続的に記録させ、振り返りを促すことで、「学んだこと」をいかに定着させるかが課題となるわけです。
同校では基礎学力の向上を目的として「自学」と呼ばれる家庭での自主学習の取り組みを実施していました。自学は特に内容を定めない家庭学習です。学級担任がノートを回収して各生徒の学習状況を把握する仕組みですが、専門外の科目では踏み込んだ指導ができなかったり、情報の共有が不十分であったりという事態も散見されました。


現在ではこのノートをタブレットで撮影し「まなふりくん」に記録し、それを教科担任が確認することで、教科担任も自学の状況を把握できるようになりました。
江尻先生は「まだ取り組みを始めたばかりで以前のやり方と比較できる段階ではない」としながらも、自学の成果を図るために週一度実施されているミニテストではある程度の手ごたえを感じているご様子。ミニテストの結果と間違った問題の確認・訂正結果をタブレット端末上で自己管理する取り組みを始めたことで、今後のさらなる成果が期待されます。

担当する数学の授業でも積極的にタブレットを活用している江尻先生(匹見中)

担当する数学の授業でも積極的にタブレットを活用している江尻先生(匹見中)

担当する数学の授業でも積極的にタブレットを活用している江尻先生(匹見中)

現在ではこのノートをタブレットで撮影し「まなふりくん®」に記録し、それを教科担任が確認することで、教科担任も自学の状況を把握できるようになりました。
江尻先生は「まだ取り組みを始めたばかりで以前のやり方と比較できる段階ではない」としながらも、自学の成果を図るために週一度実施されているミニテストではある程度の手ごたえを感じているご様子。ミニテストの結果と間違った問題の確認・訂正結果をタブレット端末上で自己管理する取り組みを始めたことで、今後のさらなる成果が期待されます。

「五感を使った言語活動」

教師や生徒が説明を行う際、タブレットを教室のモニターに接続することがあります。画面を指さしながら自分の考えを他者に説明したり、東芝製手書きノートアプリ「TruNote*」で直接書き込みながら説明を行うこともあります。
こうした言語活動を活発に行うためのツールとしても、タブレット端末を活用しています。

*「TruNote」は、紙のノートのようにアイデアやメモを手書きで残せる東芝オリジナル手書きノートアプリ。

TruNoteとモニターを使用すれば、より視覚に訴える説明ができる

TruNoteとモニターを使用すれば、より視覚に訴える説明ができる

TruNoteとモニターを使用すれば、より視覚に訴える説明ができる

「コミュニケーション能力の向上にも有効」

益田市立匹見中学校 前田 慈史 校長

前田校長先生(匹見中)

前田校長先生(匹見中)

前田校長先生(匹見中)匹見中学校の長所は「生徒数が少ないぶん、生徒全員に目が行き届いているところ」と語る校長の前田慈史先生。
教員一人に対して生徒が10名ほどのため、行き届いた指導を実践できているといいます。ただその反面、人数が少ないことで生徒間での切磋琢磨や自己主張などが希薄で「おとなしい」と感じることが多い点が心配だったそう。
そこで全校で取り組んでいるのが「今日の素敵な一枚」。それぞれの生徒がその日に素敵だと思ったことを写真として撮影し、皆の前で紹介する。そうした体験を通じてコミュニケーションを取る機会を増やそうという狙いで、現在のところ有効に機能していると感じているとか。
特産のわさびの成長の記録や伝統芸能の神楽・和太鼓の練習まで活用範囲を広げ、順調に導入が進んでいるように見えるタブレット端末ですが、「一歩一歩。焦っても良い結果は出ないと思うので慎重に進めています」と語る前田先生。今後、授業や家庭学習などへ活用の場を広げればさらなるコミュニケーション能力・学力の向上が期待できそうです。

各校の特色を活かした取り組み ~安田小学校・道川小学校の取り組み~各校の特色を活かした取り組み ~安田小学校・道川小学校の取り組み~

実践校の4校にはそれぞれ特長があり、児童生徒数や導入機器なども異なります。モデルとなる学校もないなか、それぞれが試行錯誤してタブレット端末の授業への有効活用方法を探っています。

「まず効果の高い活用法を」~安田小学校の取り組み~

益田市立安田小学校 秀浦 校長

「まずは算数で有効活用事例を作りたい」と語る秀浦校長先生(安田小)

「まずは算数で有効活用事例を作りたい」と語る秀浦校長先生(安田小)

3人グループでは真ん中になった児童が積極的になるという発見も

3人グループでは真ん中になった児童が積極的になるという発見も

「まずは算数で有効活用事例を作りたい」と語る秀浦校長先生(安田小) 3人グループでは真ん中になった児童が積極的になるという発見も安田小学校は全校児童200人余。実践校で唯一複数学級を擁する利点を活かし、学年部で授業の組み立て、効果的なタブレットの活かし方を共有しながら取組みを重ねています。

また「まずは色々な場面でタブレットを利用してみて有効な活用法を見つける」という他校とは逆に、敢えて効果の高い算数の授業中のみにターゲットを絞り、より効果の高い活用法を探求しています。

「以前よりも児童間の教え合いの機会が増え、自発的に『分からない』と発言する子や、うまく説明できなくて悔しがる子の姿を目にすることが多くなりました」と導入の成果を実感しているそうです。

「”集める”ことは楽しい」~道川小学校の取り組み~

益田市立道川小学校 木村 校長

「取捨選択する前に、まずは集めること」と語る木村校長先生(道川小)

「取捨選択する前に、まずは集めること」と語る木村校長先生(道川小)

体育では器械体操のフォーム確認、理科では実験結果の記録などに利用

体育では器械体操のフォーム確認、理科では実験結果の記録などに利用

「取捨選択する前に、まずは集めること」と語る木村校長先生(道川小) 体育では器械体操のフォーム確認、理科では実験結果の記録などに利用道川小学校は全校児童4人という少人数ながら、今年東京で行われた「第1回小さな音楽会コンクール」で銀賞を受賞するなど存在感を示す学校。
少人数である利点を活かし、児童が好きな時に利用できるよう、常にタブレット端末を教室に置いています。

木村校長先生は「とりあえず撮影して画像を集める。集めることは楽しいので、それにより学習意欲も高まります」と言います。

以前はデジタルカメラとPCで画像を記録していましたが、どこにでも持ち運べてリアルタイムで撮影結果を確認でき、説明に必要な画像を選択したり順番に並べ替えられたりするタブレットの利便性を高く評価します。

アクティブ・ラーニングがもたらす未来
						アクティブ・ラーニングがもたらす未来

本プロジェクトにおいて実践校のサポートと効果の確認、および情報発信を担う益田市教育委員会・学校教育課教育改革推進室の中尾瑞紀 派遣指導主事に、現状について伺いました。
「文部科学省は『2020年までに各学校で1人1台のタブレット端末を導入する』という目標を掲げています。益田市もこの目標に向かい、まずは各学校に1学級分、約40台の導入を目指し、実証研究を進めています」

導入の目的のひとつは主体的・対話的で深い学び、すなわち「アクティブ・ラーニング」の実現。委員会では今後数年間の機器整備計画でもタブレット端末の拡充を検討しており、将来の本格導入に向けて効果および問題点を検証していきたいと言います。
「まずは市街地の学校と中山間部の学校、それぞれの効果を確認したい」と語る中尾指導主事。現時点での印象についてお聞きしました。

森本康彦(もりもと やすひこ) 東京学芸大学 情報処理センター准教授。自身のソフトウェアエンジニアとしての経験、中学・高校教諭としての経験等を活かし、教育現場へのICT導入などに関して実践的な支援を行っている。専門は教育工学。特に、学びの記録(eポートフォリオ/学習記録データ)の利活用と学習評価、ICT活用教育について詳しい。

「未来は明るい」と語る中尾派遣指導主事(益田市教育委員会)

「少人数の学級ではひとりひとりの学習を保証するツールとして、また30人~40人の学級では情報共有のツールとして、それぞれ効果が出ていると感じています」また、授業を行う教師の方々に対しても、プロジェクト開始直後の「タブレット端末をどう扱うか」という考え方から「どう活用するか」に焦点が移ってきていると感じているとのこと。タブレット端末を中心として授業を組み立てるのではなく、タブレット端末を従来の授業をより充実させるための、いわゆる「プラスアルファ」するツールとして捉えるようになってきています。

さらに各校の足並みが揃ってきたとも。家庭学習も視野に、点の学びを線の学びにしようと試みている匹見小学校と匹見中学校。研究の核心である思考活動を掘り下げようとする安田小学校。さまざまな活用事例を模索し蓄積している道川小学校。4校4様のアプローチながら、「子どもたちの学びを深める」ことに真摯に取り組んでいます。
こうした同じ目標を持ってまい進する実践校4校を見る限り「未来は明るい」と中尾指導主事は感じているそうです。

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