お客様導入事例 | 株式会社ワイビーエム 様

株式会社ワイビーエム
製造部 部長諸岡 和郎 氏

株式会社ワイビーエム 様では昨年、将来の受注増を見据えて生産体制を強化するために、社内にプロジェクトチームを立ち上げました。
まず、オブザーバーとして同プロジェクトを支援した製造部部長の諸岡和郎氏に伺いました。

諸岡氏「本プロジェクトは ITを活用して工場内での作業を効率化することを目的としています。
『若手育成も兼ねて進めるように』との社長の意向もあり、メンバーは若手を中心に生産管理グループから1名、5つある工場から各１名、関連会社（ワイ システムサポート）から1名の計7名を選出しました」

株式会社ワイビーエム
製造部 生産管理グループ
生産管理係 係長 井手 孝介 氏

同製造部で各工場の工程管理や営業との納期調整などの業務に従事し、今回プロジェクトリーダーに選出された生産管理グループ 生産管理係係長の井手孝介氏に当時の業務について伺いました。

井手氏「当時の部品生産工場では、作業者は工作機械による加工の各工程が終わるごとに『作業実績票』という書類に作業時間等の実績を手書きで記入していました。この作業実績票を1日に2回各工場から回収したうえで、事務所で再度PCを使って『実績データ』としてデータベースに登録していました。作業実績票は紙ベースのため、回収や入力に手間がかかるうえに、走り書きの文字が判別困難な場合もありました。
また、回収のタイミングや実績票の記入遅れなどのせいで実績データの登録までにタイムラグが発生する場合もあり、現時点での加工の進行状況を知りたい場合には、実際に工場まで足を運ぶ必要がありました」

そこで、実績データを現場で直接、入力・登録できる仕組みを考えることにしました。当初はデスクトップPCを工場内に数台配置することを検討しましたが、最寄りのPCまで入力しに行かなければならなかったり、入力するために順番待ちをしたりと効率の悪さが懸念されました。そうした検討を重ねていくうちに、効率化を図るためにはいつでもどこでも作業実績を入力できる環境が必要であり、そのためにはひとりひとりにタブレットを持たせることが最適であるという結論にいたりました。

株式会社ワイ システムサポート
システム部 システムG 主任橋村 達也 氏

タブレットの機種選定にあたり、まず関連会社である株式会社ワイ システムサポートの システム部 システムG主任である橋村達也氏が候補の絞り込みを行いました。同社はワイビーエムグループ内で使用するシステムの開発およびソフトウェアの導入・保守管理を担っており、候補機種の選定には適任であったと言えるでしょう。

橋村氏「Android OSや iOS の製品も検討しましたが、既存の社内システムとデータベースの継続利用が可能であることや導入後に開発する予定であった生産管理統合システム『FactoryManager.Net』の開発工数等を考え、OS はWindowsを選択しました。さらにシステムの動作条件等を考慮し、じっくりと約2ヶ月をかけて各社のタブレット端末の中から最適と思われる数機種を候補として選択しました。その後、開発中の生産管理統合システムをインストールした全候補端末を約１ヶ月間かけて現場でテストし、実機を手にして動作画面を見た全作業員の意見を吸い上げた結果、dynabook Tab S80が採用されました」

その決め手となった理由は何だったのか、橋村氏と井手氏に伺いました。

橋村氏「やはり軽さと画面サイズのバランスが良かったことでしょうか。候補の中には、衝撃に強いという工場向けに特化したものなどもありましたが、実際に手に取ってみると思っていたよりもズシッとくるような重量を感じました。また、専用ケースを装着してみると、本体のサイズと比較して画面が小さいものもありました。
その点、dynabook Tab S80は薄型軽量で画面も大きく、扱いやすいと感じました。また、付属のデジタイザーペンの感度も良くて、利便性が高いと判断しました」

井手氏「耐衝撃性や防水性・防塵性を確保できる専用ケースの存在も大きかったと思います。工場によって使用する工作機械、加工する部品が異なります。作業環境に合わせて専用EVAケースと防塵防水ケースを使い分けることで、必要な保護性能を確保することができました。加えて、ご紹介いただいたEVAケースには持ち運びに便利な取っ手があること、デジタイザーペンを収納できること、そしてケースの色が弊社の企業カラー『ワイビーエムブルー』だったこともあり、現場にも好評でした」

保守・サポート面で安心できたことも選定のポイントだったと橋村氏は言います。

橋村氏「システムを稼働するため、タブレット端末以外にもWi-Fi ルーターやタブレット収納ボックス、バーコードリーダーなどの付属品を選定する必要がありました。その際にも営業の方がこまめに訪問してくれ、アドバイスをいただけたので、保守・サポート面でも安心できると思い導入を決定しました」

最終的に約60台のdynabook Tab S80、専用EVAケース、防塵防水ケースを導入し、約3ヶ月のテスト稼働を経て本稼働に至りました。

現場で作業員が進捗状況を入力

では、導入により当初期待していたような効果は得られたのでしょうか。全体的な印象を井手氏に伺いました。

井手氏「リアルタイムで実績データの確認・検索ができるようになり、例えば営業部からの『完成分を前倒しで納品したい』という問い合わせに対しても事務所のPCで進捗を確認し素早く対応できるなど、生産管理業務が効率化されたと感じています。また、実績入力時には端末から取得した作業開始時間・作業終了時間が自動で記録されるので、正確な作業時間を把握でき、製品の完成後すぐに実績原価を算出することが可能になりました」

Windowsを選択した利点についてもお聞きしました。

退社時には充電機能のあるタブレット収納ケースに収納して管理

橋村氏「Windowsは開発環境が整っているため、大幅な工数削減が実現できました。また、同じくWindows環境で動作する既存の社内システムとの連携もスムーズに行えました。加えて、タブレットには各作業員の要望に応じて必要なアプリケーションを追加インストールできるため、現場にいながらさまざまな業務をこなせるようになり、結果として大幅な効率化が図れていると思います」

続いてdynabook Tab S80の印象について伺いました。

橋村氏「手書き入力は最小限になるようにシステムを設計しましたが、個人のメモや他部署への連絡などで文字を入力する機会もあり、その際にはペンタッチの感度が良く操作性の高いdynabook Tab S80のデジタイザーペンが役立っています」

井手氏「取っ手のついたEVAケースは持ち運びにも便利で使いやすく、複数の工作機械を使って作業をしていても常にそばにおいておけるので、さらに入力までの時間が短縮されていると感じています」

ワークフローの変革は、時として現場の反発を招くこともありますが、これについて諸岡氏はこう語ります。

諸岡氏「プロジェクト発足直後は現場の反応がいまひとつでヒヤヒヤした部分もありましたが、導入後はすんなり受け入れられ、かなり短期間で定着したので安心しました」

この結果は導入後のアンケート結果にも表れています。紙への記入に比べて「便利になったと感じますか？」というアンケートに対し「大変便利になった」が約19%、「便利になった」が約40%、「普通」が約31%を占めていることからも、実績入力作業が効率化されたことが伺えます。

現在、本プロジェクトは同じメンバーにより第二期が進行中です。今後の展開について伺いました。

橋村氏「第二期はシステムの修正がメインになると考えています。引き続きdynabook Tabを採用し、未だ作業実績票への記入を行っている検査工程の電子化・ペーパーレス化、生産計画資料を自動生成できる生産計画管理システムの構築などを実現したいと思います」

井手氏「タブレット導入後、若いスタッフが先に使用法を覚え、先輩スタッフに質問されて教える、という光景が見られました。通常、仕事は先輩が後輩に教えるものですが、逆方向の流れが生まれたことで、社員間の距離が縮まり、会話も増えたように感じました。私も先輩に育てていただいたと感じているので、今回の導入を機に、社員間の絆がより一層深まると良いなと思います」

諸岡氏「第一期は部品生産の進捗状況をリアルタイムで把握するところまででしたが、第二期ではさらに適用範囲を組立工程までに広げる方向で取り組みを開始しています。将来的には運搬する商品を自動的にスキャンして在庫管理を行うなど、dynabook Tab S80をより幅広い分野に応用したいと考えています」

「お客様の満足と信頼に答えるため、創業の精神を守り続けもの造りに邁進する」をより高いレベルで達成するために、今後も株式会社ワイビーエム 様の進化は続きます。